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2021年5月2日(日)

「売り上げ 平時の1割」

「減収分の支援早く」

緊急事態宣言 観光地・浅草で聞く 東京

 新型コロナウイルスの感染拡大と3度目の緊急事態宣言のもとで、東京都内の商店や飲食店の苦境が続いています。大型連休に入った1日、都内の代表的な観光地・浅草で声を聞きました。(新井水和、髙橋里緒、田中真聖、丹田智之)


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(写真)緊急事態宣言を受けて休業中の仲見世商店街の店舗=1日、東京都台東区

 小雨が降る同日午後、道行く人がまばらな中で、土産物店の従業員がマスク姿で客を呼び込んでいました。観光客に人気の浅草寺につながる仲見世商店街でも、シャッターに「臨時休業」の貼り紙を掲げた玩具店や民芸品店が目立ちました。

 父の代から引き継いだレストランを夫と営む女性(72)は、閉店時間を午後7時に前倒して営業しています。

 「浅草は5月中旬に三社祭があり、例年は観光客でにぎわう時期ですが、客足はさっぱりです。売り上げは平時の1割ほどに落ち込んでいます。とにかく早く感染拡大が収束してほしい」と切実です。

苦渋の決断

 祖父の代から続く老舗の手ぬぐい店を営む男性(37)は、緊急事態宣言の発令を受けて休業を決めました。

 3度目の宣言に伴う東京都の休業支援金は、いまだに申請用紙すらない状態だといい「急いでほしい」と焦りを募らせています。「人の流れを止めようと苦渋の決断で休業要請に協力している。国や都は減収に見合った十分な補償をするのが当然ではないか」と訴えます。

 せんべい屋を営む男性(73)は「お客さんの多くは地元の高齢者なので、外出自粛が求められる中で収入が大幅に減りました。支援金が出ても店の家賃や光熱費などの経費で毎月45万円ほどが消えてしまうので、減収分をカバーできない」と困り果てた様子です。

 酒類販売店の従業員の女性は「仕入れる居酒屋は休業支援金がもらえるけれど、同じ酒を扱う店でもうちは対象外。酒の提供を中止する店が増えて、売り上げは平時の1割にも満たないのが現状です。生活が成り立たない」と疲れた様子で語りました。

五輪は心配

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(写真)シャッターを閉めた浅草演芸ホール=1日、東京都台東区

 日用品店の従業員は、外国人観光客が減った影響が大きく「周りの様子を見ながら店を開けている」といいます。

 国と都が開催に前のめりになっている東京五輪について「盛り上がらないだろうし、変異株が広がらないか心配だ」と話しました。

 イベントなどの衣装を販売する店を営む女性(58)は「緊急事態宣言でお客さんが減ってしまった」と嘆きます。

 イベントの中止が相次ぎ、売り上げは平時の1割ほど。「大変なのは飲食店だけではありません。政府は『気を付けて』と言うだけでなく、具体的な対策を示してほしい」と訴えます。

 1日から休業している浅草演芸ホール。3度目の宣言が出てからも観客を入れる形で公演を開催していましたが、都の休業要請を受けて営業を取りやめました。入り口の前には、休業の貼り紙を心配そうに見つめる人の姿がありました。

 先月も公演を見に来たという高齢の男性は「戦争のときもここだけは公演をやっていた。娯楽がなくなってしまうのは本当にいやだね」と目に涙を浮かべました。


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