2021年5月1日(土)
小中全学年で35人学級
きょうメーデー 全群教「県を動かした」
群馬県で今春から小学校と中学校の全学年で35人学級が実現しました。政府の「小学校全学年を5年間かけて35人学級」に先駆けて実施するものです。幅広い共同の成果でメーデーを迎えました。(笹島みどり)
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全群馬教職員組合(全群教)の重野勝美書記長は「子どもたちの安全な居場所としての学校の役割が、コロナ禍で明確になった。県民世論と運動が県を動かした」と話します。
昨年5月の分散登校時、県内の中学校では「感染予防で机間をあけるため、縦1列を廊下に出して授業」や「体育館に3クラスを集めて同時授業」などの実態が生まれ、社会問題となりました。
小学校では、教室の狭さだけではなく、「手洗いをするにも渡り廊下に水道の蛇口は8個しかない。密を避けるために歯磨き指導もできなくなった」など改善を求める声が教職員から上がりました。
「子どもたちの健康を守り、安心して学べる環境を求める声が大きく広がった」と話すのは、30人学級実現など国と県に教育予算の拡充を求める「群馬県ゆきとどいた教育をすすめる会」の小野里隆事務局長(全群教副委員長)です。街頭署名に列ができ、例年の1・5倍、1万5千人を超える人が応じました。保護者から「学校こそ安全な場所に」や「一日も早く少人数学級を」などの声が上がりました。
教育予算の抜本的増額を
全群教と群馬県のゆきとどいた教育をすすめる会では、県教育委員会に、少人数学級や教職員増、給食費の無料化などを求め、毎年要請を行ってきました。これを受けて県は、これまで小1~2は30人学級、小3~4と中1は35人学級を独自に実施。昨年度から小6と中3も35人学級を実施しました。今年度からは、国の方針を先取りして全学年実施に踏み出しました。全国で11県目です。
全群教の重野書記長は、「子どもや保護者、教職員の声を伝え続けたことが知事と財務当局を動かした」と語ります。同時に、少人数学級は前進したのに県の教育予算は減っていることが、大きな課題だと指摘します。
県は、国が政策目的に応じて配分する加配定数の教員を少人数学級の担任に充てました。その結果、学校によっては教員が減り、教職員の負担が増える学校も出ています。
「文科相や首相までもが中学校も視野に少人数化の必要性を認めています。国も県も教育予算を抜本的に増額し、教員を増やして高校まで含めて少人数に踏み出すべきです。県内での運動をさらに広げていきたい」