2021年4月17日(土)
きょうの潮流
幼いきょうだいの世話や病気、障害のある家族の介護をしている子ども「ヤングケアラー」が中学・高校の1クラスに約2人の割合でいる―。そんな調査結果が発表されました▼世話や介護のため「宿題や勉強の時間がとれない」という子も少なくなく、「学校に行きたくても行けない」というケースも。子どもの学ぶ権利に関わる問題です▼本人や家族に疾患があって新型コロナへの感染を避けるため、学校に行けない子どもたちもいます。実態は文部科学省も把握していませんが、かなりの数に上ると考えられます。そういう子たちのためオンライン授業などを求める運動も起きています▼100歳で亡くなった教育学者、大田堯(たかし)さんは民主教育研究所が最近刊行した『民主主義教育のフロンティア』掲載の生前のインタビューで「あらゆる生きものの生命は学習から始まります」と述べています。バクテリアでさえ環境にある情報を利用して生きている、生きものは学習をしないと生きることができないと大田さん▼学ぶことは生きる上で不可欠です。しかし学力テストの点数を競うような中身では生きるための学びとはいえません。学習は「人々をなりゆきまかせの客体から、自らの歴史をつくる主体にかえていくもの」(ユネスコ学習権宣言)です▼本来の学習を保障するため多様な子どもの状況に応じたきめ細かな対応が求められています。教育環境整備や教員増、少人数学級の一層の推進を。ヤングケアラーの家庭への支援も必要です。