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2021年4月7日(水)

主張

米価の下落

「米作って飯食えね」の声聞け

 「このままでは米作りは続けられなくなる」。田植え時期を迎える農村でいま強い危機感が広がっています。コロナ禍による米の需要激減で在庫が増大し、2020年産の米価が下落していることに加え、これから作付けし、秋に収穫される21年産の米価も暴落が懸念されるからです。この事態を打開し、農家が安心して米作りに励めるようにすることは政治の重大な責任です。

史上最大の減産を強制

 菅義偉政権は「過剰在庫」を強調するだけで、自らは何の対策も行わず、その“解決”をもっぱら生産者の「自己責任」による米減らしに求めています。21年産米の生産量を20年産米より36万トン減らす必要があるとする減反拡大の「指針」を20年秋に示しました。史上最大の減反拡大です。自治体や農業団体を通じ、米農家にその達成を迫っています。

 しかし、長期にわたる米の生産調整で農村に「限界だ」の声が渦巻いています。一定の支援があるとはいえ、主食米から他作物への転換には、機械導入や農地整備、販路や技術の習得など課題が多く、今回の政府の方針は生産現場に多大な負担と苦痛を与えています。

 20年秋以降、コロナの感染拡大が続き、米需要の減少が当初見込みを大きく上回っています。36万トンの減産が達成されたとしても、新米が出回る秋には大量の「過剰在庫」が繰り越されるとみられます。21年産米価が大暴落するとの不安が強まるのは当然です。

 ここ二十数年、歴代自民党政府の市場まかせの米政策により生産者米価は下落を続け、かつての1俵(60キロ)2万2000円台がいまや半値水準です。生産費が1万5000円を超えるのに農家の手取り米価は1万2000円前後です。それが1万円以下になりかねません。まさに「米作って飯食えねえ」事態です。

 大多数の米農家が赤字生産を強いられ、中小農家の多くが離農に追い込まれてきました。事態を放置すれば、大規模稲作経営も立ちゆかなくなり、米作りが総崩れになりかねません。

 いま求められるのは、コロナ禍で生じた「過剰在庫」を国の責任で市場から切り離すことです。その米を生活困窮者や学生への支援、子ども食堂などで活用することを進めるべきです。農家にとっても、販売不振に見舞われる米卸や小売業者にも、コロナで苦しむ困窮者にも救いとなる対策です。

 国内生産には減反拡大を強いながら米輸入を“聖域”扱いする政府の農政にも農家の怒りが高まっています。ミニマムアクセス(最低輸入機会)米の削減・中止に踏み出すべきです。麦や大豆、ソバなどについて増産に見合って輸入を減らすことも、水田の米からの転換を進める上で欠かせません。

事態打開する政治実現を

 日本共産党は国会の内外で米の危機的事態を打開する対策を再三求めてきました。米の需給と価格の安定に国が責任を持ち、生産費を償う米価の実現など米政策の抜本的転換も訴えています。

 農家の叫びに耳を貸さず無責任な米政策に固執する菅政権の姿勢は重大です。来たる総選挙で菅政権を退場に追い込み、市民と野党、農業者が力を合わせて連合政権を樹立することは、米の危機を打開する確かな道です。


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