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2021年4月5日(月)

主張

「桜を見る会」疑惑

うそと国政私物化 放置できぬ

 「桜を見る会」疑惑でだんまりを決め込む安倍晋三前首相と菅義偉首相の姿勢を見過ごすことはできません。安倍前首相は2020年12月末に衆参両院の議院運営委員会に出席して以降、国民に説明していません。菅首相も国会での野党の質問にまともにこたえず、疑惑解明に背を向けています。「桜」疑惑で浮き彫りになった政権中枢による国政私物化とモラル崩壊は、菅政権下で続発する「政治とカネ」疑惑や官僚・政治家の高額接待を招いた大本にもかかわる重大問題です。疑惑まみれの「安倍・菅政治」に対する追及を緩めるわけにはいきません。

無反省と責任転嫁のまま

 安倍前首相主催の公的行事「桜を見る会」は13~19年の4月に毎年開催され、回を重ねるごとに参加者と費用は膨らみ続けました。首相の地元の支援者らを大量に招待し、飲ませ食わせしたことは、税金を使った事実上の買収そのものです。19年に「しんぶん赤旗」日曜版のスクープと日本共産党の国会質問で実態が暴露され、国民の怒りが広がる中で20年からは開催中止に追い込まれました。

 「桜を見る会」前日に都内の高級ホテルで開かれた「前夜祭」をめぐり、安倍晋三後援会が参加者の費用を補填(ほてん)していた問題も明らかになりました。東京地検特捜部は20年末、安倍後援会が16~19年にかけて前夜祭費用を合計約700万円支出したのに、政治資金収支報告書に記載がないと認定し、政治資金規正法違反(不記載)で後援会代表の公設第1秘書を略式起訴しました。検察に事情聴取された安倍前首相は不起訴になったものの、国会で「補填はしていない」と言い張った答弁は虚偽だったことが明白になりました。

 刑事処分の結果を受けて安倍前首相は国会や記者会見で虚偽答弁を認め、「反省」を表明しました。しかし、自分は知らなかったと全て責任を秘書に押し付け、自己弁護と保身に終始しました。

 補填の原資は「手持ち資金」と言うだけで説明を拒んだことは新たな疑惑を生んでいます。政治資金収支報告書には原資をめぐる記載はなく、うその可能性が濃厚です。前夜祭会場のホテルからの明細書や領収書の国会への提出にも前首相は応じません。全国の法律家らが前首相側の刑事責任の追及を続けているように、国民は徹底解明を求めています。あくまで説明を拒否する前首相に国会議員としての資格はありません。

 安倍前首相が「桜」疑惑で少なくとも118回も虚偽答弁をしたことは曖昧にできません。行政府の長が、国権の最高機関である国会でうそを言い続け、審議を妨げてきた責任は厳しくただされなければなりません。うそを言えば偽証罪に問われる証人喚問で真相を徹底追及することが不可欠です。

菅首相は責任を免れない

 当時官房長官だった菅首相の責任も免れません。前首相のうそをおうむ返しして解明を邪魔したことへの真摯(しんし)な反省は示さず、招待者選定に関与した責任者だったにもかかわらず経過を語りません。疑惑隠しは許されません。

 虚偽答弁は、総務省の接待問題などでも繰り返されました。政権の隠蔽(いんぺい)体質が改まらないことに国民の不信は高まります。信頼を失った政権を退場させ、新しい政治に切り替えることが重要です。


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