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2021年3月31日(水)

主張

相次ぐ疑惑問題

腐敗・劣化の政治を一掃する時

 発足から半年余りたつ菅義偉政権の下で、「政治とカネ」の問題や、各省に広がる接待の疑惑が相次ぎ、国民の不信は高まる一方です。菅首相には自ら疑惑を調査し、国民に説明しようとする姿勢はなく、解明に背を向けています。数々の疑惑の大本には、安倍晋三前政権から続く、政治の腐敗・堕落・劣化があるのは明白です。ゆがんだ政治を根本からただすには、政権交代しかありません。

国民の疑念に応えず

 菅政権は、安倍前政権時代に噴出した「森友・加計」や「桜を見る会」などの疑惑解明に一貫して後ろ向きです。河井克行元法相と案里前参院議員夫妻による大規模買収事件は、選挙をカネで汚した犯罪が裁判で明らかになっている中で、2人の議員辞職で幕引きを企てています。巨額の買収資金の原資となったとみられる自民党本部から提供された1億5000万円の使途が焦点になっているのに、同党の二階俊博幹事長は「他山の石」と居直り、怒りを広げています。菅首相に近い吉川貴盛元農林水産相が起訴された汚職事件についても首相は国民の疑念に答えようとしません。

 安倍前政権の目玉政策であるカジノを中核にした統合型リゾート(IR)事業をめぐる汚職事件で起訴された元担当副大臣・秋元司衆院議員についても、菅首相は人ごとを決め込んでいます。

 菅首相は昨年9月の就任時、「国民の感覚から大きくかけ離れた数多くの当たり前でないことが残っている」「それを見逃さない」といいました。それから半年たつのに、一連の疑惑で国民に丁寧な説明をせず、ふたをしようとしているのは大問題です。

 首相の長男が勤める放送関連会社「東北新社」やNTTによる総務省幹部や大臣など政務三役に対する接待問題は、衛星放送の認可や携帯電話料金の値下げなどで、政治がゆがめられた疑惑が強まっています。同省は首相の影響力が強い官庁です。首相が解明に責任を果たす必要があります。農水省の鶏卵汚職を契機に発覚した幹部職員らへの接待問題もあいまいにできません。関係者の国会招致にも応じず、必要な資料の国会提出を拒む菅政権の態度は重大です。本紙がスクープした宮崎県の学校法人「豊栄学園」による亀岡偉民前文部科学副大臣や藤原誠文科事務次官などに対する接待問題も、解明が不可欠です。

 接待疑惑は、国家公務員倫理規程や大臣規範に違反するだけでなく、職務に関わってくれば、贈収賄につながる可能性があります。口先で「襟を正す」などというのではなく、自ら調査し解明するのは菅首相をはじめ政権の国民への責任です。

政権の責任こそ問われる

 菅政権が提出した23法案1条約に誤りが続出していることは、国会審議を軽視し、形骸化するものです。ことは官僚だけに責任を押し付けることはできません。政権の責任として、深刻に反省し、原因をただすべきです。

 官僚の不祥事は、政治の堕落・劣化と無縁ではありません。政治とカネの疑惑で閣僚の辞任が相次ぎ、国政を私物化した安倍前政権の7年8カ月、その安倍政治の継承を掲げる菅政権の6カ月余が、日本の政治にもたらした重大な弊害をこのままにはできません。


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