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2021年3月19日(金)

女性タレントの容姿を侮辱

五輪式典責任者が辞任

大会開く資格問われる

 また一つ、「東京五輪」のブランドイメージ(価値)を傷つけてしまいました。

 女性タレントを「豚」に見立てた開会式の演出を提案した五輪式典責任者の佐々木氏が、その責任を取って辞任しました。「オリンピッグ」をテーマにして、豚の仮装をした女性タレントが空から降り立つ企画を演出メンバーに提案していました。

 典型的なルッキズム(容姿による差別)であり、個人の尊厳と人格の否定です。

 オリンピック精神とも全く相いれません。五輪は「人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てる」ことを目的とし、いかなる差別も許さない根本原則を掲げています。

 佐々木氏が謝罪文で「内輪でのやり取りのつもりでした」「ざっくばらんにやりとりした中で、私が調子に乗って出したアイデア」と弁明していることも見逃せません。

 例えどんな場であっても、責任者という立場で演出メンバーに案を示した重みは変わりません。複数から反対意見が出たのは、その重大性を認識したからです。すぐに撤回したとはいえ、本来なら提案した時点で責任者としての資質が根本から疑われていました。

 森氏が会長を辞任してからひと月余り。組織委で相次いで発覚した女性差別・侮辱は、大会の中心人物による五輪精神の無理解やジェンダー平等意識の弱さを、国内外に改めて示しました。もはや、五輪を開く資格が問われる深刻な事態です。

 コロナ禍で多くの国民が今夏の開催に不安を抱いているにもかかわらず、25日から聖火リレーを実施することにも厳しい目が向けられています。このままでは大会から民意がますます離れていきかねません。

 相次ぐ不祥事による「傷」が、東京大会にとどまらず、「オリンピック」そのものにも及んでしまう気がして、あまりに残念です。(勝又秀人)


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