しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年3月16日(火)

主張

総務省の接待問題

行政ゆがめた疑惑は深まった

 菅義偉首相の長男・正剛氏が勤める放送関連会社「東北新社」とNTTによる総務省の接待問題が深刻な広がりを見せる中で、参院予算委員会で集中審議が行われました。東北新社の中島信也社長とNTTの澤田純社長が参考人として初めて国会に出席しました。中島氏は、正剛氏が接待に出席したことの狙いについてはごまかしの答えに終始し、澤田氏も総務相ら政治家への働きかけはなかったなどと主張しました。しかし、説得力はありません。高額接待で行政がゆがめられた疑いは深まるばかりです。

外資規制違反なぜ見逃す

 放送法は放送事業者に対する外国株主の議決権を20%未満と規定しています。東北新社が2016年10月にBSチャンネル「ザ・シネマ4K」の事業認定を申請した際、外資比率が20%を超えていたのに認められ、17年1月に認定を受けました。なぜ総務省が見過ごしたのか、異常な接待との関連が問題になりました。

 国会に出席した中島社長は、17年8月初めになって外資規制に違反していることに気付いて総務省に伝えたと説明しました。総務省側は、東北新社から外資規制違反が報告された記録もないと繰り返し、説明の食い違いが際立ちます。「ザ・シネマ4K」は、東北新社から子会社の東北新社メディアサービスに承継されました。承継にあたっても、総務省のチェックが入っていなかったなどとは、まったく不可解です。

 子会社への承継を決裁した際の、総務省の最上位の幹部は、当時情報流通行政局長だった山田真貴子前内閣広報官でした。同氏は東北新社から高額の接待を受けていました。接待への見返りや、正剛氏の父親、菅首相への忖度(そんたく)はなかったのか。衛星放送の電波割り当てについても、東北新社に有利な政策変更がなされた疑いも消えません。

 総務省の幹部職員だけでなく政務三役らを接待していたNTTの澤田社長は、会食で便宜を受ける話はしていないなどと言い張りました。菅首相も武田良太総務相も、会食したのかどうかさえ答えません。疑惑解明に背を向ける姿勢は大問題です。

 接待が増加したのは、菅首相が官房長官時代から推進してきた携帯電話料金の値下げの動きが進められた時期です。NTTがドコモを完全子会社にして、料金を値下げしようとした動きとも重なります。一連の接待が、総務省がNTTを利する取り計らいをするきっかけにならなかったのか。究明が必要です。

 携帯電話料金という国民生活に深くかかわる問題で行政がねじ曲げられたとすればことは重大です。国民・利用者のためにも疑惑の解明は不可欠です。

菅正剛氏も国会へ呼んで

 NTTの総務省幹部の接待では、総務省は秋本芳徳前情報流通行政局長も会食していたことを新たに発表しました。総務省は対象を広げて調査するとしていますが、同省任せにはできません。

 中島社長や澤田社長だけでなく、東北新社関連会社の木田由紀夫前社長らや正剛氏を国会に呼んで、事実をただすべきです。接待が明らかになった、総務相、総務副大臣、政務官の政務三役経験者も国会に招致し、真実を語らせることが求められます。


pageup