2021年3月9日(火)
重要土地調査法案 提出中止を
小池氏会見 「人権侵害の危険」
日本共産党の小池晃書記局長は8日、国会内での記者会見で、政府が提出予定の「重要土地等調査法案」について問われ、「国民監視を強化して基本的人権を踏みにじる危険な法案だ」と批判し、「法案提出の検討を中止すべきだ」と主張しました。
同法案は、米軍基地や自衛隊基地、原子力発電所などの重要施設周辺の土地の取得や利用を規制するものです。
小池氏は、規制のために「土地所有者の氏名や住所だけでなく、職歴や思想、交友関係、海外渡航歴の有無などの個人情報が収集される可能性が高く、プライバシー侵害の危険性が高い」と指摘しました。
また、同法案が基地などに反対する住民の弾圧に利用される可能性があることも強調。「とりわけ、沖縄の米軍基地周辺住民は占領下で一方的に土地を奪われ、基地周辺に住むほかなかった人々だ。その人たちを監視の対象にするなど絶対に許されない」と批判し、「ここにも菅政権の沖縄の人々の苦しみへの無理解が表れている」と強調しました。
小池氏は、防衛省が「防衛施設周辺の土地所有によって自衛隊の運用に支障が起きている事例は確認されていない」との調査結果を示していることに触れ、「立法事実がなく、法案提出の必要性がない」と主張しました。
デジタル法案
監視社会の恐れ
小池氏はデジタル関連5法案について問われ、「これだけ重大な法案を束ねて一緒くたに審議すること自体が国会軽視であり、内容も重大だ」「徹底審議で廃案を目指す」と述べました。
小池氏は、同法案で、大企業などの利益追求や国の成長戦略のために個人情報を利活用する強い権限を持つデジタル庁を設置することについて、「そもそも『行政のデジタル化で住民サービスの向上を徹底する』というが、コロナ禍で持続化給付金や家賃支援給付金などをデジタル申請のみとしたために、支援を受けられない事業者が多数生まれた」と批判。マイナンバーに医師免許などの国家資格をひも付ける改定などを盛り込み、今後、税・社会保障・災害対策に限定された「利用範囲の拡大」を明記していることは「『マイナンバーは税・社会保障・災害の3分野に限定。分散管理で情報漏えいを防ぐ。国民総背番号制ではない』としてきたことにも反する」と指摘しました。
また、同法案で住民基本台帳や地方税など自治体の情報システムの標準化や国がつくる全国規模の共通クラウドの利用を押し付け、個人データを集積しようとしているとして、「地方自治を侵害し、住民サービスの低下を引き起こす危険がある」と指摘。「法案の基本理念には個人情報保護の文言もなく、個人データの利活用が優先される。プライバシー権など人権保障が後退し、『監視社会』につながる危険がある」と強調しました。
中国海警法
国際法に反する
中国の王毅外相が「海警法は完全に国際法、国際慣習法に適合している」と述べたことについて問われて、小池氏は「自国の管轄海域が恣意(しい)的なものになっている点でも、そこで武器使用も含む強制措置が取られるとしている点でも、明らかに国際法に違反している」と強調しました。
小池氏は、国連海洋法条約など国際法は、沿岸各国に認められる権限を厳密に規定し、海をめぐる紛争の平和的解決を定めていると指摘。中国海警法について、「力による現状変更の動きを強める中国の覇権主義的行動をエスカレートさせるものだ。日本共産党は、海警法に強く抗議し、撤回を求める」と表明しました。
また、王外相が香港での選挙法の変更は「理にかなっている」と述べたことについて、小池氏は「『民主派』の候補者や議員が選挙と香港の自治に参加することを抑圧するものだ。中国政府自身が国際的に公約してきた『一国二制度』と、そのもとでの三権分立をさらに破壊するものであり、厳しく抗議する」と述べました。