2021年3月8日(月)
主張
3・8国際女性デー
声上げ社会動かす歩み脈々と
きょう8日は、国際女性デーです。世界と日本の各地で女性たちの共同行動が行われます。20世紀初頭、アメリカの女性が「パンを」「参政権を」と立ち上がりました。それに連帯し社会主義をめざす女性の会議で1910年に提起され、ドイツ、オーストリア、デンマーク、スイスで11年に取り組まれたのが最初の国際女性デーです。
新しい生き方を求め続け
日本でも11年、平塚らいてうらが女性文芸誌『青鞜(せいとう)』を創刊し、「元始、女性は太陽であった」と声を上げました。戦前の天皇制と家父長制、女性の無権利状態という困難な中で新しい生き方を模索する女性の活動が前進する契機となります。18年の富山県の漁村の女性の行動が全国に拡大する「米騒動」などを経て、23年に東京・神田の青年会館で行われた婦人講演会が日本初の国際女性デーです。この歩みは脈々と続いています。
世界的な行動を受けて77年、国連総会は3月8日を「国際デー」と位置付けました。国連女性機関は、今年の国際女性デーのスローガンを「リーダーシップを発揮する女性たち―コロナ禍の世界で平等な未来を実現する」としました。デンマーク、フィンランド、ドイツ、ニュージーランドなど女性の政治リーダーの国が、コロナ対応で「迅速、有効で公衆衛生に関する情報を国民に寄り添った形で発信」したことに注目し、「多様で幅広い女性や少女の視点」を感染対策と危機からの回復の政策と取り組みに、取り入れる必要性を訴えています。
国連のグテレス事務総長は1月、ジェンダー平等は「世界で最大の人権課題」と述べ、女性のリーダーシップは「流れを変えるために必要な要素で、深く根を張った構造やモデルを変える時が来ている」「女性の無給のケア労働、ケア経済への資金投入は経済成長とパンデミックからの復興の起爆剤」と呼びかけました。
この提起は、コロナで女性の貧困と格差拡大が深刻化する日本にとって極めて重要です。1人親世帯の35%が「必要な食材が買えなかった」と答え、野村総研の調査では「非正規雇用で賃金半減、休業手当も支給されていない実質的失業者の女性」は103万人にのぼります。女性の自殺増加は、一刻も放置できない事態です。
しかし、菅義偉政権の解決への取り組みは進みません。与党の女性議員比率や内閣の閣僚比率が著しく低いことと無縁ではありません。各国の男女格差を比較したジェンダーギャップ指数で日本は153カ国中121位、政治分野では144位と立ち遅れています。
女性参政権行使から75年
菅政権は男女共同参画計画から選択的夫婦別姓の言葉をなくし、同制度導入賛成の意見書を上げないよう地方議会に圧力をかけた国会議員の1人、丸川珠代参院議員を男女共同参画担当相に任命するなど逆行があらわです。ジェンダー後進国の政治変革は急務です。
女性蔑視発言をした森喜朗氏は、「沈黙しない」世論の高まりで五輪組織委会長辞任に追い込まれました。性暴力根絶を訴えるフラワーデモも政治を動かしています。総選挙がある今年は、1946年の総選挙で日本の女性が初めて参政権を行使してから75年にあたります。多様な声をさらに広げ、政治と社会を前に進めましょう。