2021年2月25日(木)
きょうの潮流
私たちは、本当に子どもの声を聴けているのだろうか。同じおとなとして、ドキリとする問いかけでした▼日本スクールソーシャルワーク協会がオンラインで開催した冬季研修会。上からの一斉休校が子どもや家族と出会う場を奪い、貧困、虐待、孤立が深化したと語られました。学校再開で問題は一気に噴出。「最初に助けを求めていた時に、彼らと出会えていなかった」と悔やみます▼そんな中でも、それぞれの持ち場でSOSをキャッチしようと必死でした。それまでのつながりの糸が引き出した「しんどい」という悲鳴。さらに新たな糸を紡ぐため、コロナ禍の下で地域の「居場所」を開き続けた努力も。待ちの姿勢にならない取り組みが、子どもの命をなんとかつないできました▼大切なのは、子どもにとって一番身近な学校を「安心・安全」の場にすること。が、教職員にも余裕はないのが実情です。子どもがぽつりと言った一言が、実は本質ではないか。その思いを丁寧にすくい上げるゆとりが、今こそ必要です▼あるワーカーは言います。「私だけでなく教師、同世代の子ども、すてきなおとなたちと出会えるチャンスをつくるよう心がけてきた」と。大切なのは、子どもの声を聴くおとなが増えること。どこかだけに責任を押し付けることなく、声を受け取るおとながつながろうと呼びかけています▼そして聴き取られる経験の積み重ねが、意見表明へつながり、やがて支援を求める力になるのだとも。子どもの声、あなたに届いていますか。