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2021年2月21日(日)

主張

首相長男接待疑惑

包み隠さず事実を語るべきだ

 放送事業会社「東北新社」に勤務する菅義偉首相の長男(元総務相秘書官)が総務省幹部を接待していた問題は、放送行政をゆがめた疑惑としての様相を深めています。会食中に衛星放送の話が出たことを「記憶にない」と言い張ってきた総務省幹部は、「BS」などの発言があったことを認めました。同社関連の衛星放送の認定更新の直前に、接待が続いたことも疑いを強めています。不可解な点が多すぎます。菅政権は、事実を包み隠さず明らかにすべきです。

ごまかしは成り立たない

 東北新社による総務省幹部への接待問題は『週刊文春』(4日発売)が報じました。同省事務方のナンバー2のポストである総務審議官の谷脇康彦、吉田真人の両氏、秋本芳徳情報流通行政局長、湯本博信官房審議官の4人が昨年10~12月、首相長男ら「東北新社」役員から4回接待されていました。同社の子会社スターチャンネルが昨年12月に総務省から業務認定の更新を受けており、接待との関係が問題になっています。

 野党の国会質問に、総務省は、接待は2016年から12回に上ることを明らかにしましたが、詳細は「調査」を理由に答えません。秋本局長は、昨年12月の会食で「BSやCSが話題になった記憶はない」という答弁を繰り返しました。これに対し文春オンラインが17日、この会食時に衛星放送事業に触れた音声データの一部を公表します。すると秋本局長は答えを一転させ、「(首相長男らから)BS、CS、スターチャンネルに関する発言はあったものと今は受け止めている」(19日)と認めました。総務省は、首相長男ら東北新社側も自分たちの発言と認めたことを説明しました。また秋本局長は、首相長男らが、国家公務員倫理規程で接待が禁止されている利害関係者にあたるとの認識もようやく示しました。国会に事実を隠ぺいし、不誠実な虚偽答弁を重ねてきた姿勢は極めて重大です。

 問題なのは、菅首相の政治家としての責任です。総務副大臣と総務相を務めた首相の総務省への影響力はいまも絶大とされます。吉田総務審議官や湯本審議官は、首相長男が菅総務相秘書官時代に知り合ったことを認めています。秋本局長は、他の放送事業者との会食は東北新社ほど多くないと述べています。幹部が接待に応じた背景として、「首相の威光」があったことは疑いの余地はありません。

 首相は東北新社の創業者と元社長から総額500万円の政治献金を受けていたことを認めました。首相は、同社との関係を国民に説明すべきです。総務省は秋本局長と湯本審議官を事実上更迭しましたが、幕引きを図ることは許されません。長男を含めた東北新社側の関係者4人、総務省幹部4人の国会招致は不可欠です。

「特別扱い」許されない

 総務省は22日に調査結果を国会に報告するとしています。その前に武田良太総務相が「放送行政がゆがめられたということは全くない」と断言したことは大問題です。結論ありきの、おざなりの調査で済ましてはなりません。

 行政がゆがめられ、首相周辺に近い人物が優遇される構図は、安倍晋三前政権下の「森友」「加計」「桜を見る会」と共通しています。「特別扱い」と「私物化」の政治を一掃することが急務です。


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