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2021年2月18日(木)

主張

コロナ禍での株高

格差広げる経済のゆがみ正せ

 日経平均株価がバブル期以来30年半ぶりに3万円の大台を突破しました。コロナ危機で消費や生産活動が落ち込む中、株価だけが上がっています。経済の実態からかけ離れた株高です。大株主が資産をさらに増やす一方、多くの非正規労働者が職を失い、中小企業の経営は危機的状態が続きます。格差の構造をつくり上げたのは安倍晋三前政権のアベノミクスから続く、暮らし置き去りの政治です。

実体経済とかけ離れ上昇

 株価の上昇は実体経済の回復によるものではありません。海外からの投資と日銀の公的マネーが押し上げ要因となっています。

 日本の株式市場は、安倍前政権が海外からの投資を呼び込んだこともあって売買の約7割を外国投資家が占めています。この3カ月あまり外国勢が買った日本株は売った株との差し引きで3兆円近くに上ります。コロナ危機対策として世界各国が行った金融緩和で供給されたマネーが日本市場に流れ込んでいます。

 日銀は、株式で構成される株価指数連動型上場投資信託(ETF)を昨年だけで7・1兆円も買い入れて株式市場に資金を投入しました。中央銀行が直接介入して株価をつり上げている国は欧米にはありません。日本だけの異常な政策です。

 株高の恩恵を受けたのは一握りの大株主です。米誌『フォーブス』によると、日本のビリオネア(保有資産10億ドル以上の大富豪)の資産は昨年3月から倍増しています。

 国民の暮らしは深刻です。2020年10~12月期実質国内総生産(GDP)の実額(年率換算)のうち個人消費は289兆円と、東日本大震災以来の低水準です。かつてGDPの6割を占めていた個人消費の比率は5割台に下がっています。

 株価が上がったのは上場大企業です。日本企業の99%以上を占める中小企業の多くは存廃の瀬戸際です。民間信用調査会社の帝国データバンクによると、コロナ関連倒産は16日までの集計で累計1027件です。負債100億円以上の大型倒産は4件だけで、圧倒的に中小企業の倒産です。

 雇用分野では20年の有効求人倍率が45年ぶりに大きく低下し、20年平均の非正規労働者は前年比で75万人も減りました。

 政府は家計と中小企業に直接届く支援を最優先で実行すべきですが、国民の願いに背を向けてきました。菅政権は「感染対策と経済の両立」と言いつつ「Go To」事業に固執して感染を再拡大させ、経済活動に制約を課す結果を招きました。

大企業中心から転換を

 安倍前政権は「世界で一番企業が活動しやすい国」をめざし、大企業の利益を最優先させる経済政策を続けました。株価つり上げはアベノミクスの一環です。在任中2度の消費税増税は消費を冷え込ませました。雇用では正社員を非正規雇用に置き換える動きを加速させました。それがもたらしたのは、コロナ危機で非正規労働者が困窮に陥り、中小企業が立ち行かなくなる社会でした。菅政権はアベノミクスを継承しています。

 大企業中心の政策は日本経済をパンデミックに弱い構造にしてしまいました。このゆがみを正し、暮らしと営業を大切にする社会に転換することが必要です。


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