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2021年2月16日(火)

主張

20年GDPの減少

国民の暮らし立て直しが急務

 内閣府の発表によると、新型コロナの感染拡大に直撃された2020年の国内総生産(GDP)は記録的な落ち込みとなり、リーマン・ショック直後の09年以来のマイナス成長となりました。10~12月期は前期に続きプラスとはなったものの、戦後最大の落ち込みとなった4~6月期の打撃から抜け出せず、日本経済の深刻な現状を浮き彫りにしました。民間調査研究機関は21年1~3月期には再びマイナスに陥ると予測しています。コロナ禍で苦しむ国民への緊急対策を急ぐとともに、暮らしと経済の立て直しに向けて、国民本位の思い切った対策が不可欠です。

リーマン危機以来

 20年の実質GDPは19年に比べ4・8%のマイナスでした。世界を震撼(しんかん)させたリーマン・ショック翌年の09年以来11年ぶりの悪化です。減少幅も09年に次ぐ戦後2番目の規模です。年間では、公共投資など政府の財政支出以外、個人消費も民間住宅投資も、設備投資も輸出も、大幅な落ち込みです。

 一方、昨年10~12月期のGDPの、前期に比べた伸び率は物価上昇を差し引いた実質で3・0%となり、7~9月期の5・3%の伸びに続く、2期連続のプラス成長です。

 しかし、本格的な回復とは程遠いのが実態です。内需の柱となる個人消費が前期に比べ2・2%の伸びにとどまり、7~9月期の5・1%増に比べると大幅な鈍化で、消費の低迷を浮き彫りにしています。一方、自動車や電機の輸出や設備投資は伸びており、輸出と企業頼みです。

 総務省の家計調査報告でも、昨年12月の実質消費支出(2人以上世帯)は3カ月ぶりに前年同月比0・6%の減少となりました。気温低下による冬物衣料や暖房器具等の需要増の一方、コロナ感染再拡大で旅行や外食の消費が減少しました。

 GDPは19年10月の消費税増税後、同年10~12月期、20年1~3月期と2期連続の減少でした。加えてコロナの感染拡大による1度目の緊急事態宣言の期間を含む4~6月期は、前期に比べ8・3%もの大幅な下落となりました。

 日本経済が消費税の増税で大きな傷を負ったところへ、コロナの感染拡大が追い打ちをかけ、危機的事態を招いていることは明らかです。2期連続のプラス成長となった後、感染抑止に逆行した「Go To トラベル」によってコロナの感染が再拡大し、1月から2度目の緊急事態宣言が発令され、その期間も3月7日まで延長されました。今年1~3月期のマイナス成長への再突入は必至といわれます。国民の苦境を救う政治の役割がいよいよ求められます。

予算案組み替え減税を

 国民の暮らしと日本経済を立て直すには、コロナの感染再拡大に緊急の対策をとるとともに、国民の負担を軽減し、暮らしの土台を支えることです。コロナ禍の中で、世界の約50カ国が実施している消費税など大型間接税の減税は、要になる対策です。

 国会で審議中の菅義偉内閣提出の21年度予算案は、コロナ対策に不十分なだけでなく、消費税の減税に背を向け、国民に新たな負担を押し付ける冷たい予算です。市民と野党の力で予算案の抜本的な組み替えを迫ることが、重要になっています。


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