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2021年2月4日(木)

主張

緊急事態宣言延長

危機打開の積極的方策を示せ

 菅義偉首相が東京など10都府県での緊急事態宣言延長を表明しました。期間は3月7日までです。コロナ感染は拡大傾向に歯止めはかかりつつあるとはいえ、新規感染者数はまだ高い水準です。医療機関の逼迫(ひっぱく)も危機的状況を脱していません。一方、営業時間短縮要請の延長に飲食店から「持ちこたえられない」と悲鳴が上がります。しかし、菅首相は延長発表の記者会見で、医療・検査拡充や営業への補償についての抜本的強化に踏み込みませんでした。国民には「もうひと踏ん張り」とさらなる努力を求めながら、自ら積極的方策を示さない姿勢は極めて重大です。

どこが弱点か説明もなく

 菅首相は、当初予定した1カ月で宣言解除ができなかったことについて記者会見などで「申し訳なく思う」と述べました。しかし、政府の対策のどこに問題があったのか、具体的説明はありません。自らの施策の弱点を率直に認め、ただす立場をとらなければ、打開の道は開けません。

 感染者の急増で病床が足りなくなる医療崩壊の危機を招いたのは、菅政権の医療機関への財政支援が全く足りないからです。医療機関を対象にした政府の交付金で3・2兆円の支援をしたといいますが、3分の1も現場に届いていません。交付金の使い勝手の悪さは各地で指摘されています。医療機関全体に届く支援の仕組みへの切り替えが必要です。コロナによる医療機関の打撃は、感染者を受け入れている、いないに関係ありません。地域全体を連携しながら支えている医療機関や介護施設などにいきわたる減収補填(ほてん)に踏み切るべきです。感染者把握や在宅対応などにあたる保健所職員の大幅増員も差し迫った課題です。

 首相が宣言延長の会見でPCR検査拡充に全く触れなかったのは深刻です。政府のコロナ分科会の最新の提言(2日)は高齢者施設職員の定期的検査への国の支援などを求めています。現場が速やかに検査を行えるよう全額国庫負担にすることは待ったなしです。

 2度目の緊急事態宣言によって夜8時以降の営業時間短縮を要請されてきた飲食店からは、宣言延長について「頑張ってきたのに心が折れる」と悲痛な叫びが相次いでいます。1日最大6万円の協力金ではやっていけないとの声が噴出しているのに、首相は「おおむねまかなえる」と背を向けています。持続化給付金や家賃支援給付金の再支給もしません。大問題です。感染抑止のためには飲食店などの一層の協力が不可欠なのに、万全の補償をしないままでは実効性ある対策にはなりません。

国民の心は離れるばかり

 菅首相は営業時間短縮について「支援と行政罰をセット」と繰り返し、罰則頼みの構えです。生活のために要請に応じられない店舗に罰則を振りかざすことは、国民の間で対立・分断を広げることにしかなりません。感染抑止に逆行するやり方は許されません。

 首相は与党議員の「夜の銀座会食」は「あるまじき行為」と非難しつつも、自身の二階俊博自民党幹事長らとの「ステーキ会食」については、緊急事態宣言前だったからなどとあれこれ弁明し、根本的な反省がありません。苦しい言い訳を続ける首相から国民の心は離れるばかりです。国民から信頼される政治への転換が急務です。


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