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2021年1月31日(日)

主張

雇用の大幅悪化

非正規への支援を一刻も早く

 雇用情勢が大幅に悪化しています。29日に公表された2020年の雇用統計で有効求人倍率は45年ぶりに大幅下落し、完全失業率は11年ぶりに上昇しました。非正規雇用労働者、特に女性が大きく減っています。コロナ危機による経済の落ち込みの中で政府の雇用対策が機能していないことが悪化に拍車をかけています。菅義偉政権は国民に努力を求めますが、支援は後手に回り、内容も不十分な上、発信も足りません。非正規労働者の暮らしは切迫しています。支援に一刻の猶予もなりません。

切り捨ては許されない

 20年平均の有効求人倍率は1・18倍で前年比0・42ポイント低下しました。第1次石油危機後の1975年以来の大きな悪化です。新規求人が21・7%も減ったことが響きました。コロナ危機の直撃を受けて宿泊・飲食業、小売業の求人は30%以上減りました。

 2020年平均の完全失業率は前年比0・4ポイント上昇し2・8%でした。非正規労働者数は75万人減の2090万人と、統計で比較可能な14年以降、初めて減りました。男性が26万人減、女性が50万人減です。

 非正規は労働者の4割近くを占め、女性では50%を超えています。雇用の“調整弁”として切り捨てることは許されません。

 非正規女性労働者の実態は統計以上に深刻だとする調査もあります。野村総研は、約90万人のパート・アルバイト女性の勤務シフトがコロナ前の半分以下に減り、休業手当も支払われない「実質的失業者」になっているとするリポートをまとめました。統計では失業者にも休業者にも含まれません。6割はコロナ前の世帯年収が400万円未満です。今、困窮に陥っていることは明らかです。

 中小企業の労働者を対象にコロナ対応休業支援金・給付金が設けられました。雇い主が休業手当を払わない場合、国が労働者に直接、賃金の8割を補償します。しかし支給実績はいまだに予算額の12%程度です。

 野村総研によると、休業支援金を知らない人がシフト減の女性労働者の6割に上り、知っている人も9割近くが申請していません。受給対象となる人の大半が制度を知らずに放置されています。

 休業支援金は大企業を対象外としているため、大手チェーン店の非正規労働者には支給されません。大企業、中堅企業の非正規も受給可能にすべきです。労働組合が改善を求め、日本共産党など野党4党は共同で休業支援金拡充法案を衆院に提出しています。菅首相は真剣に受け止めるべきです。

長期の落ち込みに対応を

 休業支援金や雇用調整助成金の特例措置は感染収束まで継続する必要があります。打ち切りなど論外です。

 持続化給付金、家賃支援給付金を再度支給することや、緊急事態宣言で営業時間を短縮させられた飲食店への協力金を拡充することは雇用を守るうえでも重要です。

 2度目の緊急事態宣言によって1~3月期はマイナス成長となる見通しです。雇用は今後、長期にわたる悪化が予想されます。年度末に多くの非正規労働者が雇い止めにあうおそれも強まっています。政府は、一人も路頭に迷わせないという決意と具体策を国民に示さなければなりません。


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