2021年1月26日(火)
きょうの潮流
超音速旅客機として話題を集めた「コンコルド」が就航したのは45年前の今ごろでした。夢の飛行といわれましたが、次々と問題が発生。わずか3年16機で生産打ち切りとなりました▼実現までに莫大(ばくだい)な費用を要することから英仏が共同開発。しかし騒音やオゾン層破壊の環境問題にくわえ、オイルショックによる価格高騰や高燃費が重なり各国からの注文もキャンセルが相次ぎました▼巨額の欠損を抱えながら運航をつづけましたが、ついに墜落事故を起こして生産中止から24年後に姿を消します。投資の続行が損失につながるとわかっていながら、それまでの投資を惜しんでやめられない―。そんな状態を「コンコルド効果」と呼ぶゆえんです▼日本政府が導入を決めた迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」も同じではないか。ずさんな計画があらわになり陸上配備を断念。ところが今度は洋上に変更し、5千億円以上という2隻のイージス艦を造るための予算を計上。運用や維持費を含めれば費用は青天井に▼安倍政権からうけつぐ米国製武器の爆買い。イージス・アショアも米国が開発したシステムありきです。来年度予算案には敵基地攻撃を可能とする兵器も盛り込まれています▼このコロナ禍のときに最も不要な軍事費。医療関係者からは「国民の命を守るといいながら、財源の使い方が間違っている。安心・安全の体制を整備すべきは、いまここにある」。破綻した計画にさらに巨額をつぎ込む。そんな浪費をしている場合か。