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2021年1月25日(月)

主張

案里議員有罪判決

菅首相の責任逃れ許されない

 2019年7月の参院選をめぐる大型買収事件で公職選挙法違反(買収)に問われた河井案里参院議員(自民党離党)に東京地裁は、懲役1年4月、執行猶予5年の有罪判決を言い渡しました。判決が確定すれば案里議員は失職します。案里議員とともに買収で起訴された夫の克行元法相・衆院議員(自民党離党)は別の公判が続いています。案里議員陣営には自民党本部が巨額の資金を提供しました。異常なてこ入れをした当時の安倍晋三政権の姿勢も厳しく問われます。官房長官として案里議員を後押しした菅義偉首相は責任を免れることはできません。

選挙の公正を害する犯行

 河井夫妻による大型買収事件は、広島選挙区で案里議員当選のため、地方議員や首長ら100人に計約2900万円を提供し、票の取りまとめを依頼したものです。選挙を実質的に取り仕切ったのは克行議員だったとされます。

 東京地裁は、案里議員は克行議員と共謀し地方議員4人に現金160万円を提供したことを買収と認定しました。案里議員は、現金提供は4月の統一地方選の陣中見舞いや当選祝いで買収ではない、と無罪を主張しましたが、退けられました。判決は「民主主義の根幹である選挙の公正を害する犯行」「被告人が負うべき刑事責任は重い」と厳しく指摘しました。

 案里議員陣営の公選法違反では、車上運動員に法定額を超える報酬を支払い買収に問われた公設秘書の有罪が別の裁判で確定しています。これを受けて検察は昨年末、案里議員に連座制の適用を求める裁判を起こしています。同訴訟で検察の勝訴が確定した場合も案里議員は失職します。

 票をカネで買うのは極めて悪質な行為です。多額の現金をばらまいた金権選挙に対して反省のない河井夫妻に国会議員の資格はありません。裁判結果を待つことなく、2人は国会の証人喚問などで事件の全容を明らかにし、速やかに議員を辞職すべきです。

 案里議員の参院選出馬は、地元の意向を無視して安倍前首相ら当時の官邸が強引にすすめたとされます。選挙に際し河井夫妻陣営には自民党本部から1億5000万円もの資金が提供されました。広島選挙区に出馬したもう一人の自民党候補者の10倍という桁違いの金額です。しかも、その8割は税金で賄う政党助成金です。大規模買収の原資について自民党は国民に説明する責任があります。

 選挙の応援には安倍氏や菅氏が駆け付け、安倍氏の秘書が支援に入ったことも明らかになっています。政権中枢と河井夫妻との深い関係の解明は欠かせません。菅首相は案里議員の有罪判決後、「襟を正して行動していくことが大事」などと人ごとのようなコメントですませ、自民党本部からの巨額資金提供についても「所定の手続きをへた上で交付された」とごまかし続けています。無責任で不誠実な姿勢は許されません。

金まみれの政治終わりに

 通常国会の論戦では、安倍氏の「桜を見る会」疑惑や吉川貴盛元農林水産相の汚職事件などをめぐっても菅首相の真相隠しの姿勢があらわになっています。前政権から続く“腐敗の連鎖”をうやむやにはできません。金にまみれた政治を一掃し、国民から信頼される新しい政治の実現が急がれます。


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