2021年1月23日(土)
命と健康守る政治責任果たせ
参院本会議 小池書記局長の代表質問
日本共産党の小池晃書記局長は22日の参院本会議の代表質問で、深刻な広がりを見せる新型コロナウイルス感染症への対策や「政治とカネ」、東日本大震災からの復興、沖縄新基地建設、核兵器禁止条約への署名・批准などについて菅政権の姿勢を追及し、国民の命と健康を守る政治の責任を果たすよう迫りました。
コロナ対策
医療機関への支援迫る
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深刻な医療崩壊を食い止め、国民の命と健康を守る政治の責任が求められています。小池氏は、医療機関に対する緊急包括支援交付金は現場に届いたのは総額3・2兆円の3分の1だと指摘し、交付金の大半をコロナ患者の受け入れ医療機関に限定していることを見直すよう要求。コロナ患者を受け入れていない医療機関や介護施設も、発熱外来の開設や地域の救急体制の維持、軽快患者の受け入れなど役割を分担しながら懸命の努力が行われているとして、「政府がやるべきは医療機関や介護・福祉事業所全体に、感染拡大による減収を迅速に簡便な方法で補填(ほてん)することだ」と迫りました。
菅首相は、緊急包括支援交付金が1・1兆円しか現場に届いていないことを認めながら、「3・2兆円の医療機関支援を行う」と繰り返すだけ。小池氏が、医療・福祉施設でのクラスター(感染者集団)の発生防止が重症者を減らし、医療の負担軽減に決定的に重要だとして、全額国費の社会的検査を要求したのに対しても、菅首相は「重点的な検査を実施することとしている」と事実に反する答弁に終始しました。
小池氏はコロナ禍のもと、外食の激減で農業が大打撃を受け、とりわけ米価が大きく下がっているにもかかわらず、政府は転作を求めるだけだとして、ミニマム・アクセス米の輸入中止、国が余剰分を買い上げることなどを提案。緊急事態宣言で時短営業を求められている飲食店への事業規模に応じた補償の拡充や第3次補正予算案の抜本的組み替えを求めました。
さらに、小池氏は自身も参加した年末年始の相談・支援活動で目にした、仕事も住まいも失った非正規雇用の人たちの窮状を突き付け、「生活困窮者や低所得者の手元にただちに届く、新たな給付金が必要だ」と強調。親族への扶養照会が生活保護の申請の大きな障害になっているとして「有害な扶養照会はやめるべきだ」と迫りましたが、菅首相は「扶養照会は必要な手続き」と開き直りました。
政治とカネ
説明拒否、疑惑解明に背く姿勢を批判
「コロナ対策で大切なのは、政治リーダーに対する国民からの信頼だ」と語った小池氏。吉川貴盛元農林水産相の収賄事件や、日本学術会議推薦の会員候補任命拒否の理由について、菅首相は国民に説明していないと批判しました。
小池氏は、「桜を見る会」問題で、菅首相が安倍晋三前首相のウソを追認することで疑惑解明を妨害した責任は重大だと批判。当時の官房長官として「会」の招待者選定の責任者でもあったとして、全容解明のための調査と安倍前首相の証人喚問が不可欠だと強調しました。
有罪判決が出た参院議員の河井案里被告についても、選挙で莫大(ばくだい)な資金を提供し、応援した責任を指摘。夫の克行被告とともに証人喚問を求め、「『国会が決めること』と逃げるな」と迫りました。
菅首相は「党からの政治資金は所定の手続きをへた上で交付された」と党総裁としての立場で答えながら、「裁判は継続中で、行政府の長としてこれ以上答えるべきではない」と、都合よく立場を使い分ける支離滅裂な答弁に終始しました。
震災・原発事故
震災復興へ支援継続・強化を
小池氏は、東日本大震災から10年、政府が「復興・創生期間」終了後に、被災者支援・復興策を打ち切ることは許されないと強調。「被災者の生活と生業(なりわい)の再建をめざして国が最後まで責任を果たすべきだ」と支援継続を求めました。
グループ補助金の返済時期に、新型コロナで漁業・水産加工業などが大打撃を受け、大不漁との三重苦になっているとして支援強化を要求。しかし菅首相は、支援の延長・強化は語りませんでした。
小池氏は、東京電力福島第1原発事故で出た汚染水の海洋放出の動きに「今までの努力を水の泡にする」などの不安と怒りが噴出していると強調。保管タンクの汚染水にトリチウム以外の放射性物質が最大で基準値の2万倍も含まれているとして、当面、陸上保管の継続を求めました。
脱炭素を口実に原発に固執する政府に対し再稼働の断念と原発ゼロを迫った小池氏に、菅首相は「原発ゼロで最適な政策を実現できない」と露骨な推進姿勢を示しました。
辺野古・軍事費
軍事費を削ってコロナ対策へ
小池氏は、菅政権が強行する沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を中止し、過去最大の軍事費を削ってコロナ対策にまわすよう求めました。
小池氏は、新基地建設に伴う本島南部からの埋め立て土砂採取計画について「戦没者の血が染み込み、遺骨の眠る地域から土砂を採取し、基地建設に使用することに何の痛みも感じないのか」と撤回を迫り、遺骨収集と返還に全力を挙げるべきだと指摘しました。
米軍が戦時国際法に違反し、土地を強制接収して建設した基地に県民が苦しめられてきたと指摘。「歴史は分からない」という菅首相の態度は「あまりに無情だ」と述べ、民意に応えて新基地断念と普天間基地の閉鎖・撤去に正面から取り組むよう求めました。
菅首相は「遺骨に配慮し土砂採取が行われる」「(新基地)工事を着実に進める」と、問答無用の冷酷さを示しました。
小池氏は、来年度予算案に計上された長距離巡航ミサイル取得費などは「敵基地攻撃能力の保有」とどう違うのかと追及。「イージス・システム搭載艦」の経費は青天井になると指摘しました。
菅首相は「敵基地攻撃が目的ではない」と強弁しましたが、搭載艦の総経費は「引き続き検討する」とし、青天井の費用増を否定できませんでした。
小池氏は、軍事費を削り、検査・医療・補償などのコロナ対策に予算を振り向けるよう求めました。
核兵器禁止条約
被爆国にふさわしい発信と行動を
小池氏は、核兵器禁止条約の発効について「『核なき世界』に向けた新しい時代の始まりを心から歓迎する」と表明しました。
小池氏は、昨年の国連総会で条約参加を訴える決議が加盟国の3分の2をこえる130カ国の賛成で採択され、ある国の大使が演説で「条約の批准は、核兵器の『犠牲者に払える最高の敬意』だ」と述べたことを紹介。「多数の国々が被爆者の努力をたたえ、行動に踏み出しているときに、唯一の被爆国の政府が背を向け続けるのか」とただしました。
さらに小池氏は、核兵器に固執する米国と密接な関係にある日本が禁止条約に署名・批准すれば、「核軍縮の停滞」が言われる情勢にも前向きな変化をもたらし、北東アジアの平和と非核化にとっても新たな展望をひらくに違いないと強調。「被爆国にふさわしい世界への発信と行動を」と呼びかけました。
菅首相は指摘にまともに答えず、条約に「署名する考えはない」と背を向けました。