しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年1月10日(日)

緊急事態宣言 初の週末

都内の商店街 客足減少

「いつまで持つか」

 1都3県に緊急事態宣言が出て初の週末となった9日、東京都内の商店街などは前週と比べて人通りが減りました。一方、生活困窮者を支援する炊き出しには、かつてないほど人が集まっていました。(芦川章子、小梶花恵)


写真

(写真)「無病息災」の短冊がつるされた浅草の仲見世=9日、東京都台東区(佐藤研二撮影)

 「お年寄りの原宿」と呼ばれる「巣鴨地蔵通り商店街」(豊島区)。週末は大勢の人でにぎわっていた通りも人はまばらです。

“給付金もう一度”

 老舗和菓子店の女性(73)は「お客さんも売り上げもコロナ前の半分以下。ずっと続いています。こんなことはかつてなかった」。持続化給付金の100万円だけでは「もたない。もう一度だしてほしい」と訴えます。政府の感染予防対策については「遅すぎた。オリンピックだ、何だとやらなくていいことにこだわってねぇ」と嘆きます。

 せんべい店の女性も長引く客足の減少に「うちもいつまで持つのか。職を失っている人も多いと聞くし。早く収束させて」と切々と語ります。

 かばんなどの販売店の店主で同商店街振興組合の木崎禎一理事は、一時期戻った人出は感染再拡大をうけ急速に減ったといいます。「蓄えで食いつないでいるような店がほとんど。うちの売り上げもコロナ前の9割減。どこも本当に厳しい。廃業を考える店も増えるのでは」と語ります。

 今回、自治体が出す「協力金」も「われわれのような(飲食以外の)小売りには一円も出ない」。銀行の融資も厳しくなっているといいます。政府に対し「中小零細業者の声をもっと政策に反映させてほしい」と語ります。

シャッター下ろし

 台東区の観光地、浅草は前週末と比べて人通りが激減しました。貸衣装の和服を着た観光客など若者が多く、年配者の姿はあまり見かけません。シャッターを下ろした店も所々に見られます。

 商店街のジェラート店の女性店員2人は「めっちゃくちゃ減ってます」と口をそろえます。「先週までは『Go To』の観光客がいたけど、今はその半分以下」

「宣言」の週末「物が売れない」 炊き出し支援に列

写真

(写真)物資を配るスタッフら=9日、東京都豊島区

 衣料品店店員の男性は「そうとう減ってる」と語ります。通り過ぎる自転車を見て、「自転車がすいすい通れるなんて、先週までならありえない」

 呉服店主の男性(82)は「ガラッと変わったね。ものが何も売れない。このままだと店はつぶれるね」と明言しました。1日の売り上げが5000円、6000円という日々です。店主によると「開けても売れないから」との理由で、付近は閉めている店が目立ちます。

 店主の妻が家賃支援給付金などの給付金を申請しましたが、何も給付されていません。受け取ったのは特別定額給付金の10万円だけ。「社長がかわいそう」と、従業員が自ら休みを取り、1人で営業しています。「給付金がもらえたらだいぶ違うけどね」

 豊島区の東池袋中央公園では、路上生活者らを支援するNPO法人「TENOHASI(てのはし)」が行う炊き出しにこの日も大勢の人たちが並び、弁当や衣類、寝袋などを受け取りました。

 清野賢司代表理事は「年末年始の炊き出しには約240人が集まりました。リーマン・ショックの時でも200人は超えなかった」と、かつてない事態だと話します。緊急事態宣言についての菅義偉首相の会見について「これだけの人たちが危機にいるなか、共感を持てるような言葉が一つもなかったのが残念。『生活保護は誰でも受けられます』というメッセージがほしい」と語りました。

 食料を受け取った男性(71)は、30年間、会社員勤めだったといいます。今は野宿生活です。「一度つまずいたら戻れない。前は60歳すぎの人ばっかりだったけど、最近は若者も増えた」


pageup