2020年12月24日(木)
JAL不当解雇から10年
超党派に運動広がる
ジェンダー平等・空の安全…
日本航空が2010年末にパイロットと客室乗務員165人の解雇を強行して、まる10年となります。JAL不当解雇撤回争議団(パイロット・山口宏弥団長、客室乗務員・内田妙子団長)とJAL解雇撤回国民共闘、労働組合は、コロナ禍を乗り越えるためにも、すみやかな解決を訴えています。(田代正則)
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「お母さん、何か悪いことしたの?」。客室乗務員争議団の山田純江さんは、解雇された大みそかの夜、当時12歳の娘の言葉が、今も胸に刺さっています。
「客室乗務員という仕事と仲間が大好きで、娘にも自分の働いている姿をみせたかった」と悔しさと争議解決への思いを語ります。
藤田由美子さんは、「入社したころは、女性客室乗務員は結婚イコール退職で、30歳定年でした」と振り返ります。日航客室乗務員組合(現日航キャビンクルーユニオン=CCU=)がたたかい、結婚・出産後も乗務でき、定年も男性と同じになりました。「解雇で、子育てしながら定年まで働くという希望もかなえられなかった」
内田妙子団長は「ジェンダー平等の先駆けになってきた女性たちが解雇対象になった。この点でも許されません」と強調します。
パイロット争議団の山口宏弥団長は「私が入社してから731人が航空事故で亡くなった。私の前に飛んだ飛行機も墜落しました」と言います。空の安全のため意見を言ってきた労働者を多数解雇したことは、日航の姿勢が問われます。
16年9月、解雇の過程で会社が労働組合のストライキ権投票を妨害した不当労働行為の認定が最高裁で確定。国際労働機関(ILO)から解決するよう4度勧告され、東京五輪公式パートナー企業としてILO勧告を守る責任が問われています。
赤坂祐二社長が「早期に解決したい」と発言し、18年5月開始の特別協議でも解決は先延ばしされています。
会社は解雇強行以降、パイロット386人、客室乗務員6205人を新規採用し、今年も採用は続けています。コロナ禍でもワクチン輸送など公共交通の役割は重要だからです。
解決を求める動きは超党派に広がっています。日本共産党、自民党、立憲民主党、国民民主党会派、社民党の国会議員が、9月に院内勉強会を開き、11月には日航役員を国会に招いて、意見交換を行いました。
日本共産党の山添拓参院議員の国会質問(11月26日)で、橋本聖子五輪担当相は「(五輪関連企業には)国際労働基準の順守・尊重をはじめ基準が定められている。組織委員会がしっかり対応しなければいけない」と答えています。
JAL争議団と支援共闘、労働組合は、争議解決で、空の安全を守ってコロナ禍を乗り越えようと取り組みを広げています。