2020年12月23日(水)
予算案に「在籍出向」支援
リストラ活用の危険も
583億円計上
政府が閣議決定した2020年度第3次補正予算案と21年度予算案には、雇用関係を維持しつつ労働者を他社へ出向させる「在籍型出向」を支援するために、「産業雇用安定助成金」が創設され、3次補正案で46億円、21年度予算案で537億円の計583億円が計上されました。
出向元と出向先の企業に対し、経費の一部を補助するもので、1日上限が1万2000円となっています。
出向にはもともと雇用調整助成金が支給されますが、新たに助成金を創設して促進をはかるのがねらいです。
厚生労働省は、仕事が減っている観光バスと仕事が増えているトラック輸送などとの間で「在籍型出向」を活用すれば、雇用維持につながると説明しています。双方の企業に対する紹介については、厚労省所管の産業雇用安定センターが無料で行うとしています。
出向については期限と賃金などが明確にされ、労組との協定や本人同意などが求められるとされています。
ただし、就業規則などに包括的規定があれば、個別の本人同意は不要とされる判例も出されています。
大企業などでは「片道切符」と呼ばれるような「リストラ辞めさせ出向」が行われている実態も少なくありません。全労連などは、「在籍型出向」による不当なリストラを許さず、雇用を守るたたかいを呼びかけています。