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2020年12月21日(月)

新自由主義に対抗する力は? 野党政権合意推進へ地域は?

パネリストが回答 全国革新懇シンポ

コロナ危機のりこえる新しい社会へ

 全国革新懇が19日に都内で開催したシンポジウム「コロナ危機をのりこえる新しい社会をめざして」の質疑応答では、旺盛な議論が交わされました。会場やインターネット上からは「新自由主義に対抗する力を育てるには」「野党連合政権樹立に向けた政権合意実現のために地域でできることは」などの質問が出されました。日本共産党の志位和夫委員長をはじめ5人のパネリストが丁寧に答えました。


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(写真)全国革新懇のシンポジウムで質問をする参加者=19日、東京都千代田区

 会場からの「なぜ日本の新自由主義は欧州に比べてひどいのか」との質問に、藤田孝典・NPOほっとプラス理事は、労働組合の低い加入率などを挙げ、「抵抗運動が極めて弱い。地場の運動で不正義や権利侵害に対してみんなで声を上げることが重要だ」と答えました。石川康宏・神戸女学院大学教授は、日本の資本主義への本格的参入が欧州から遅れ、「天皇絶対主義のもとでの“身分制”が解体され、ようやく一人ひとりが自由になったのは戦後だ。権利を主張する期間が得られていない」と指摘。「今は世界の運動をネットで学ぶことができる。変化の可能性は十分にある」と語りました。医師で医療制度研究会の本田宏副理事長は、北欧デンマークの小学生が「助け合うことが大事だ」と語ったことを紹介し、「自己責任を乗り越えるには教育の力が大きい」と述べました。

教育のひずみ

 岡野八代・同志社大学教授は、日本の教育に問題があると述べ、保育園でのケアの実践を紹介し、月齢で成長度が大きく異なる2、3歳児に対し、「保育士は一人ひとりの成長に合わせている。保育士は一人ひとりを絶対に比べないのに、小学校では一気に競争に入る」「成績によって常に比較され、分かち合いや共に何かをする喜びがそがれている」と語りました。新自由主義のもとで教育のひずみがさらにのしかかっているとして、保育や介護など「ケアの営みこそ政治が学ぶべきことが大きい」と強調しました。

 志位氏は、「岡野さんの話に触発された」と述べ、2007年の第1次安倍政権による教育基本法改悪に対して日本の教育の問題点をただしたさい、「つくづく感じた一番の問題は競争主義と序列主義だ」と強調。「競争と序列は戦後教育に持ち込まれ、とりわけ新自由主義のもとでさらにひどくなり、教育基本法の改悪のさいに全国一斉学力テストが導入された。まさに国が子どもを競争に追い立てている」と指摘し、「競争と序列、これがいちばん日本の教育を悪くして、子どもを傷つけている」と強調しました。北欧フィンランドでは教育から「競争」の考え方を一掃し、「子どもが分かるまで、みんなで助け合い、世界最高水準の学力を達成している」と述べ、日本の教育の抜本的な転換を求めました。

総選挙勝利へ

 石川氏が命と暮らしを守っている社会の一つの事例として北欧を紹介したことに対し、インターネット上から「北欧は消費税が高いがポストコロナで日本もそれを目指すのか」との質問。石川氏は「確かに北欧は消費税が非常に高く、日本にはなじまない。それぞれの社会に応じた発展の在り方がある」と回答しました。

 次期総選挙での政権交代と野党連合政権の実現に向けた抱負も大いに語られました。

 志位氏は、「野党間の政権協力の合意の実現に向け、地域では何をなすべきか」との質問に対し、「政権合意は中央段階でやらなければならないこと。地域からは、『早く中央段階で政権合意を』という声をあげていってほしい。私たち自身の努力としては、日本共産党躍進の勢いを作り出すことが共闘を前進させる推進力だと思いを定めてとりくんでいるところです」と答えました。

 また、志位氏は未来社会でも生産力を高めるのかとの質問に、「私たちは社会主義・共産主義社会では、人間的な質での生産力の高度な発展が可能になると展望している。自然と人間との物質代謝も資本主義のもとでの自然破壊でなく、人間性にもっともふさわしい形で行うことが可能になる。人間的な質での生産力の高度な発展が土台にあってこそ、労働時間の抜本的短縮による人間の自由な発展という未来社会の大展望が開けてくる」と語りました。


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