2020年12月16日(水)
主張
GoTo全国停止
いますぐに止める決断をせよ
菅義偉首相が「Go To トラベル」を全国で一時停止することをようやく表明しました。停止期間は28日から来年1月11日までとしました。実施は10日以上も先です。決断も遅ければ、実行に移すのも遅すぎます。新型コロナウイルス感染急拡大と医療機関のひっ迫は、悠長なことをいっている状況ではありません。日々の対応が問われる時に手をこまねくことは大問題です。全国一律の「Go To トラベル」中止を直ちに実行し、観光・旅行・飲食など苦境にある業者を直接支援する強力な対策に切り替えるべきです。
世論の批判に追い込まれ
菅政権は、全国一時停止までの間、東京都は18日から、名古屋市は14日から両自治体を目的地とする旅行を事業から外すとしました。札幌・大阪両市を目的地の旅行の除外も全国停止まで続けます。この4自治体を出発地とする旅行も利用自粛を呼びかけました。
菅政権のやり方は依然として後手、小出し、中途半端です。急拡大する感染への危機感がありません。「みなさんが落ち着いた年明けを迎えることができるよう、最大限の対策を講じる」と首相は政府対策本部で述べました。本気でそう考えるなら、全国一律の中止を即決即断する以外にありません。
「Go To トラベル」は税金を投じて行うべき事業なのかと、実施前から再三指摘され、7月の実施後も中止・見直しを求める意見が相次ぎました。「第3波」が11月以降に顕在化すると医療現場から中止を訴える切実な声が噴き出しました。政府の専門家でつくる分科会も11月20日に運用見直しを迫ったのを皮切りに、一時停止を求める提言を繰り返しました。
菅政権はこの声に逆らい続けました。「Go To」が感染を広げたエビデンス(根拠)はないと言い張り、地域を限る運用見直し・停止を重ねるだけでした。11日のインターネット番組で首相は「いつの間にかGo Toが悪いことになってきた」と開き直り、あくまで一時停止を拒みました。そのわずか3日後、首相が期間を切った全国停止を表明する事態に追い込まれたのは、国民の批判の広がりによるものです。どのメディアの世論調査も「Go To トラベル」中止の声は圧倒的多数を占め、内閣支持率は急落しました。
自らの目玉政策にこだわり、感染拡大を抑え込めなかったことは、菅政権による「人災」という他ありません。ところが首相の「Go To」固執は変わりません。補正予算の予備費から同事業に約3000億円の追加支出を決め、3次補正予算案に1兆円超の事業延長の費用を盛り込みました。一度始めた政策を変えない硬直姿勢は、国民に不利益しかもたらしません。いま必要なのは「Go To」に代わる支援策を早急に具体化することです。菅政権は姿勢を根本から改めるべきです。
無為無策の政権3カ月
菅首相が、安倍晋三前首相から政権を引き継いで16日で3カ月です。コロナ対応の無為無策と逆行ぶりは、菅首相に政権担当の資格も能力もないことを象徴しています。苦境にある国民に「自助」を迫る冷酷さと、自分の言葉で国民に語ることのできない情けない姿も際立つばかりです。国民にとって危険で有害な政権を終わらせるたたかいがいよいよ重要です。