2020年11月26日(木)
主張
菅首相の国会答弁
無責任ぶりが際立つばかりだ
菅義偉首相が出席し、衆参両院で予算委員会の集中審議が行われました。新型コロナウイルス感染拡大に対する政府の無策や、「桜を見る会」前夜祭をめぐる安倍晋三前首相側の費用補てん問題を中心に、野党は首相をただしました。首相はコロナ感染を広げた「Go To」事業の誤りをあくまで認めず、「桜」前夜祭での安倍氏の国会の虚偽答弁についても見解を示すことさえ拒みました。あまりに無責任です。国政の焦点課題でまともに議論しようとしない姿勢は大問題です。政権を担う資格そのものが問われます。
前首相のウソ放置なのか
都内の高級ホテルを会場に開かれてきた「桜」前夜祭の費用の一定額を補てんしていたと安倍氏の周辺が認めたことは、補てんを否定していた安倍氏の国会答弁を根底から覆すものです。補てんしていた額は2015~19年で800万円以上とも、916万円とも報じられています。ホテルが発行した明細書や領収書の存在も明らかになりました。「明細書はない」などと強弁してきた安倍氏のウソはいよいよ動かせません。
現職の首相が1年にわたって国会を欺き続けたことは、国会審議の前提を崩すものであり、民主主義を根幹から揺るがす重大事態です。集中審議では、日本共産党の宮本徹衆院議員と田村智子参院議員をはじめ、立憲民主党などの議員が、「桜」疑惑を取り上げました。ところが菅首相は、安倍事務所のことであり「私の立場では答えられない」とか、検察の捜査中を口実に「答弁を差し控える」と言うばかりです。安倍氏が虚偽答弁をしていた可能性についても答えません。菅氏が官房長官として、安倍氏の主張に沿った国会答弁をしていたことの責任を問われると、「(安倍氏に)確認していた」と居直りました。
事実をきちんと確認をせず、安倍氏のウソ答弁をおうむ返しにして、真相を隠ぺいする片棒を担いできたことについて菅首相は責任や痛みを感じないのか。首相の開き直りは、通用しません。
菅首相は自らの過去の答弁を反省し、「桜」疑惑の全容解明に動くべきです。安倍氏周辺が補てんを認めたことは、いままでと異なる新たな局面です。捜査当局任せにするのでなく、明細書などの資料提出をはじめ国会で徹底解明することが急務です。安倍氏の招致では、ウソを言えば偽証罪に問われる証人喚問として行うことが不可欠です。
菅首相はコロナ感染対策でも反省がありません。「Go To トラベル」が感染を広げるきっかけになったと専門家の指摘が続いているのに、「Go To」事業に固執し、一部見直ししかしません。「第3波」到来で、重症患者が急増し、「医療崩壊」が現実のものになっています。雇用も暮らしも深刻で「このままでは年を越せない」と国民の悲鳴が上がっています。従来型の対策から一歩も出ない姿勢を改めるべきです。
国民の苦境を直視せよ
2020年度第2次補正予算の予備費約10兆円のうち使われていない7兆円以上の使途を、菅政権は臨時国会中に明らかにすべきです。PCR検査の戦略的な抜本拡充、医療機関への強力な財政支援、事業と雇用、暮らしを守り抜くための具体的な対策を一刻も早く示すことが政府の責任です。