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2020年11月17日(火)

GDP速報値 プラスでも

雇用環境厳しく労働力人口が減

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 2020年7~9月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比でプラス成長になったものの、コロナ禍による日本経済の苦境は続いています。

 前期比プラスといっても前年水準には遠く及びません。GDPの実額は、年換算で508兆円。1年前の7~9月期に比べ、32兆円減っています。個人消費も22兆円減少しました。

 雇用をめぐる環境は厳しさを増しています。新型コロナウイルスに起因する解雇・雇い止めは6日現在、厚生労働省が把握しているだけで7万人(見込みを含む)を超えました。実態はさらに多いとみられます。

 労働力人口は4月、前年同月比67万人の減少を記録。その後9月まで6カ月連続でマイナス圏に沈んでいます。経営悪化に伴い、人員削減や、新規雇用の抑制を行う企業が増えたことで、就業をあきらめる労働者が増えていることを示しています。

 内閣府の景気ウオッチャー調査には、新規求人数が「10月に入って再び(前年比)マイナス50%台の状況が続いている」(職業安定所)、「当面採用を止(や)める会社が増えてきている」(人材派遣会社)など、新規採用に消極的な実態が多数寄せられました。

 国民の苦境とは対照的に富裕層には富が集中しています。政府・日銀による財政出動や金融緩和によって株価が上昇。1000億円以上の資産を保有する「ビリオネア」35人の資産額は、10日現在で20兆円を超えました。

 国民の間では、「先行き」の見えない不安が広がっています。中小企業の廃業・倒産と、リストラ・解雇、雇い止めなどの雇用危機が進行すれば、大不況の悪循環に陥ります。雇用と事業を維持し、持続できるように最大限支援することが最重要の経済政策です。(小村優)


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