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2020年11月17日(火)

主張

7~9月期GDP

暮らし守り抜く対策を急げ

 新型コロナウイルスの感染拡大と消費税の増税で痛めつけられている日本経済の深い傷が改めて鮮明になりました。内閣府が発表した7~9月期の国内総生産(GDP、速報値)は、物価変動を差し引いた実質で前期比5・0%増と4四半期ぶりにプラスになったものの、GDPの実額は、コロナ前の水準を下回るだけでなく、消費税を10%に増税した後の水準よりさらに悪化しています。暮らしと営業を支え、経済を立て直すための政策に本格的に転換することが急務です。

減少分埋め戻せず

 7~9月期のGDPの前期比の伸びは、この成長が1年続いたとした換算で、21・4%の増です。しかしこの伸び率では昨年10月の消費税増税後、3四半期連続で続いたマイナス成長の前には届きません。実質GDPの実額(508兆円)もコロナ前だけでなく、増税直後を下回っています。

 今年4~6月期は、新型コロナ感染の急拡大による緊急事態宣言の発令によって、日本経済は凍り付きました。実質GDPは前期比8・2%減、年率換算で28・8%減もの戦後最悪の急落となりました。7~9月期のGDPが大幅な伸びになったのはその反動でもあります。しかしその大幅下落の分さえ回復できていないことはきわめて深刻です。

 実質GDPの内訳では、個人消費(民間最終消費支出)が4・7%増、輸出が7・0%増でした。一方、民間住宅投資は7・9%減と大幅に落ち込みました。民間企業設備投資も3・4%のマイナスと、力強さには欠けています。

 新型コロナの感染は、第3波に入っています。PCR検査と医療体制を抜本的に拡充し、命と健康を守るとともに、営業と雇用を応援する制度を強化することが不可欠です。

 菅義偉政権は2020年度第3次補正予算案をコロナ追加対策として検討していますが、それを待たず雇用調整助成金特例の延長や持続化給付金の複数回支給などを早急に決断し、必要な人の手に一刻も早く届けるべきです。

 日本経済の落ち込みはコロナの感染拡大以前からです。安倍晋三前政権の経済政策「アベノミクス」は貧困と格差を拡大し、2014年4月の8%と昨年10月の10%への消費税の増税が消費不況を引き起こしました。

 消費税の増税で弱った経済に、コロナが追い打ちをかけたのです。消費税を安倍政権が増税する前の5%に緊急に戻し、経営が厳しい中小企業については19年度と20年度の納税を免除することが必要です。

消費税減税の決断を

 大企業は内部留保を増やし、資産1000億円以上の超富裕層はコロナ禍の中でも資産を昨年の14兆円から今年は20兆円に6兆円も増やしています。こうした大企業と富裕層に応分の負担を求めて消費税減税を実現することは税の公平という点からも当然です。

 欧州諸国ではコロナ下で消費税にあたる大型間接税を減税しています。日本でも消費税の増税とコロナ禍が重なり、不況の悪循環に陥りかねない中で、消費税の減税を含めた思い切った対策に踏み切るべきです。政治の転換が必要で、菅政権に代わる野党連合政権の実現がいよいよ重要です。


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