2020年11月12日(木)
中小業者「年越せない」
持続化給付金 第2弾切実
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新型コロナの感染拡大の恐れが増しているなか、「このままでは年を越せない」という声が中小業者の間にあふれています。「もう持続化給付金は残っておらず、このままでは廃業だ。再給付をしてほしい」。業者たちが訴えます。
「いま製作中の部品を納めたら、残受注はありません。この仕事を35年間していますが、初めての事態です。新年を迎えられるか、不安でたまらない」
東京都葛飾区で金属加工業を営む新井史郎さん(70)が言います。
いま作っているのは、岩石を削る機械の先端部品。非常に硬い特殊な金属で加工が難しく、作れる業者は限られます。数百分の1ミリメートル単位の精密さが求められる仕事ですが「図面さえあれば、どんなものでも作ります」と胸を張ります。
しかしコロナによる経済危機で、8月の売り上げはわずか5万円。9月以降も6割減です。申請から半年近く後の9月に持続化給付金を受給しましたが、工場の家賃や光熱費などを支払い、残りわずかです。少ない国民年金でしのぐ日々です。
事業存続へ家賃支援給付金を申請するほか、異業種企業交流会などで新たな取引先を見つけたいと考えていますが、どうなるかはわかりません。
「コロナ禍で、金属加工の仲間2人が廃業しました。職人技をもつ多くの中小業者が廃業したら、日本は以前のようなものづくりができなくなってしまう。国は持続化給付金の再給付など、支援を続けてほしい」
東京商工リサーチの調査では、9月も6カ月連続で8割の中小企業が売り上げ減(前年同月比)。企業の破綻も9、10月と増えています。
全国商工団体連合会は10月22日、内閣府に対し、持続化給付金の継続や家賃支援給付金の迅速な給付、納税の免除・猶予、消費税減税などを求めています。
日本共産党の志位和夫委員長は10月29日の衆院本会議代表質問で「コロナ恐慌」を引き起こしかねないと指摘し、持続化給付金の第2弾、消費税の減税など営業を守る「公の責任」を果たすよう求めました。
いま乗り越えられれば…
商売継続へ あらゆる施策を
宮城
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コロナ禍のもとで、宮城県石巻市で父の代から続く工務店を営む男性(67)は「住宅リフォームなどの依頼が激減し、売り上げ8~9割減の月が続いている。消費税増税とコロナの両方が響いており、先が見えない」と話します。
5月に受給した持続化給付金は、50万円の消費税納付や従業員の賃金等で瞬く間になくなりました。老後のために積み立てていた共済の解約、日本政策金融公庫の融資と綱渡りのように資金繰りに追われています。
来年春に住宅新築が1件予定されており、「そこまでつぶれずにいられれば、なんとか持ち直せる」と期待をつなぎます。
「うちには長年、地元で培ってきた実績と信頼があります。問題は、いまを乗り越えられるかどうかです。持続化給付金の再給付や消費税の減免・減税など、あらゆる施策を国は考えてほしい」
宮城県商工団体連合会(9民主商工会で構成)は、各地で相談会や自治体との交渉に取り組んでいます。「地元紙に『コロナ危機でも商売をあきらめないで』と相談を呼びかける広告を6回にわたり掲載」(石巻民商)、「繁華街・国分町の飲食店などに3000枚のチラシをポスティング」(仙台民商)など、全ての中小業者を視野に入れた取り組みを進めています。
持続化給付金の申請に関する相談が10月末までに1200人から寄せられており、受給額は14億円にのぼります。「受給できて、本当に助かった。これで商売を続けられる」と喜ばれるとともに、再給付を求める声が強まっています。
中村芳弘事務局長が力を込めます。「すべての中小業者が廃業せずに年を越せるよう、持続化給付金や家賃支援給付金の受給などを全力で支援したい。同時に、コロナの感染拡大が懸念されるなか、継続した給付が不可欠です。実現に向け、力を尽くします」
(青柳克郎)