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2020年11月3日(火)

主張

「市廃止」再び否決

市民の力で大阪市守り抜いた

 大阪市の廃止・分割の是非を問う住民投票は、反対が多数となり、大阪市の存続が決まりました。「大阪維新の会」が推進する「市廃止=都構想」案が否決されたのは、2015年の住民投票に続き2回目です。「大阪市をなくすな。守り生かそう」という市民の声が再び示されたことは、大きな意義があります。政令市として大阪が持つ力を存分に生かし、住民の福祉と暮らし向上に向けた取り組みを進める転機にする時です。

維新の野望を打ち破る

 「都構想」は、維新の会が結党以来、中心政策に掲げてきました。大阪市を解体し、権限も財源も大阪府に吸い上げ、強い力を府知事に集中させ、やりたい放題の体制をつくろうという狙いでした。維新の野望を打ち破り、大阪市の未来を守り抜いたことは、市民の良識による歴史的な勝利です。

 15年に否決の審判が下されていることに加え、新型コロナウイルスの感染拡大のもとで、市民の健康と暮らしを守るために党派を超えて力を合わせなければならない時に、市民を二分する市廃止を持ち出し、住民投票を実施した維新のやり方も問われました。

 130年の歴史のある大阪市を廃止するか、存続するかは、住民のサービス水準にかかわる問題として、大きな議論になりました。多くの財源が府に持っていかれるため特別区の財政基盤は弱まります。大阪市が独自に実施していた「子ども医療費助成」「敬老パス」などの住民サービス切り捨ての危険が浮き彫りになりました。さらに、大阪市を分割した場合の行政コストが増大することを市財政局が試算していたことも報道され、大問題になりました。

 これに対し維新は、反対の意見などを「デマ」「誤報」などと決めつける攻撃を繰り返しました。それが新たな批判を招いて、防戦に追い込まれました。維新にとって都合の良い情報しか出さない姿勢には、市民から不信と不安が続出しました。「百害あって一利なし」の市廃止を強引に推し進めた維新の責任は重大です。

 「明るい民主大阪府政をつくる会」、「大阪市をよくする会」、日本共産党をはじめとする真実を伝える宣伝は反響を呼び、市民の共同も急速に広がりました。

 前回は反対した公明党は、維新に抱き込まれて、今回賛成に回りました。しかし、開票日のメディアの出口調査では、同党支持者の5割が反対に投票した結果も示されました。無党派層では反対が多数です。当初は「賛成が優勢」と伝わる中、短期間で追い上げ、逆転勝利を果たしたことは、大阪の明日を開く貴重な成果です。

 維新代表の松井一郎大阪市長は否決結果を受け、2年半後の政界引退を表明し、もう「都構想」には挑戦しないと述べました。菅義偉政権の最悪の補完勢力として「自己責任」の政治を進める維新に痛打を与えたことは、全国を大きく励ましています。

力合わせ明日をひらこう

 大阪市の課題は山積しています。廃止に反対した人も賛成した人も大阪を良くしたいという願いは共通しています。維新が市民に持ち込んだ分断を乗り越え、政令市として残してよかったと思える大阪にしていくために、多くの市民が手をとり、力を合わせることがなにより重要になっています。


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