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2020年10月30日(金)

主張

給付金の終了提案

財務省は国民の苦境見えぬか

 新型コロナウイルスの再燃に国民の不安が強まる中、財務省が中小企業などに支給する持続化給付金と家賃支援給付金を当初の予定通り来年1月15日で終了させると言い出し、批判を招いています。コロナ感染拡大が長期化し、経済の悪化に歯止めがかからず、経営困難に陥る中小企業が数多くある実態を無視したものです。事業の継続はもちろん、いっそうの充実こそ必要です。持続化給付金と家賃支援給付金を終了させるとの財務省の提案を実行させてはなりません。

「自己責任」の発想で

 持続化給付金はコロナの影響で収入が落ち込んだ中小企業や個人事業主を支援するために設けられたものです。家賃支援給付金も売り上げが減少した事業主の地代・家賃の負担を軽減するために創設されました。労働者への雇用調整助成金の拡充や休業給付金・助成金とともに、世論の強い要求で実現しました。

 財務省の持続化給付金などの終了提案は、来年度予算編成に向け意見書を取りまとめている麻生太郎財務相の諮問機関・財政制度等審議会の部会(26日)で示されました。

 中小企業の売り上げは大幅に減少し、コロナ関連倒産が一定程度発生しているものの、二つの給付金の対策で低水準に「抑制」できており、「緊急時の対応」は「予定どおりに終了すべき」という主張です。部会の議論では持続化給付金などが「企業の延命」になることを問題視する意見も出されたといいます。「前向きな」取り組みをする企業支援に移行すべきだというもので、「努力する企業」は支援するが「努力しない企業」は支援しないといわんばかりです。貸し付けなど資金繰り支援についても「長期化は、中小企業の新陳代謝を著しく阻害するおそれがある」などといいます。菅義偉首相が主張する「自己責任」論に立った考え方です。

 こうした発想は財務省だけではありません。菅首相が設置した成長戦略会議(議長・加藤勝信官房長官)でも、中小企業の「淘汰(とうた)」が話し合われています。現場の深刻な実態からかけ離れた議論です。

 中小企業の経営は、コロナ以前から「アベノミクス」による貧困・格差の拡大や2度にわたる消費税増税が打撃になって、「このままでは年が越せない」「支援の手が届かなければ事業継続をあきらめざるを得ない」という声が相次いでいます。民間調査会社によると、コロナ収束が長引いた場合、廃業の危機にひんすることになる中小企業が31万社を超えるという予測も出ています。

 いま重要なのは持続化給付金の第2弾の実施であり、家賃支援金の拡充・延長です。財務省の提案は逆行というほかありません。

暮らしを守る財政運営を

 同じ財政審の部会では、国民が切実に願っている少人数学級について「学級規模の学力への影響は限定的」だと決めつける、後ろ向きの資料も提出されました。あまりに硬直的で冷たい姿勢です。コロナ危機で、「40人学級」の矛盾、少人数学級の必要性は浮き彫りにされています。財務省は姿勢を改めるべきです。

 コロナ禍から国民の暮らしを守り豊かにする財政運営への転換が求められます。


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