2020年10月27日(火)
日本共産党国会議員団総会 志位委員長のあいさつ
日本共産党の志位和夫委員長が26日、臨時国会開会にあたって開かれた議員団総会でおこなったあいさつは次の通りです。
|
みなさん、おはようございます。
臨時国会の開会にあたりまして、ごあいさつを申し上げます。
核兵器禁止条約発効――日本政府は参加を真剣に検討せよ
まず、核兵器禁止条約の批准国が50に達し、発効が確定したことを、みなさんとともに大きな喜びをもって歓迎したいと思います。(拍手)
歴史上初めて、国際法上、核兵器が違法化されました。カナダ在住の被爆者・サーロー節子さんの言葉を借りますと、「核兵器の終わりが始まった」ということだと思います。これを力に、「核兵器のない世界」に進むたたかいをさらに発展させたいと思います。
そして、こういう平和の大きなうねりが起こっているもとで、唯一の戦争被爆国である日本政府の姿勢は恥ずべきものといわなければなりません。従来の姿勢をあらため、条約に参加することを真剣に検討することを強く求めるものです。(拍手)
日本学術会議への人事介入――党の存在意義にかけて暴挙を許さない論陣を
この国会は、菅政権発足後初めての国会となります。内政・外交の全体にわたって、菅政権の基本姿勢をただしていく必要がありますが、とりわけ二つの焦眉の大問題にとりくみたいと思います。
「戦後最大の曲がり角になる可能性」との警告が
第一は、日本学術会議への人事介入の問題です。
著名な細胞生物学者で歌人の永田和宏さんは、「朝日」への寄稿でこういうことをおっしゃっておられます。
「今回の政府による学術会議人事への介入は、ある意味では戦後最大の曲がり角になる可能性があり、これを許してしまうと、わが国の今後に、そして私たち国民一人一人の子や孫といった後続世代に、計り知れない影響を及ぼす怖(おそ)れがあると、私は強く感じている」
「戦後最大の曲がり角になる可能性」「子や孫の世代に計り知れない影響を及ぶ怖れ」――これらの指摘は、決してオーバーではなく、今の危険をズバリ言い当てているものではないでしょうか。
法治主義への挑戦――これを許せばその先に待っているのは全体主義国家への転落
私は特に二つの点を訴えたいと思います。
一つは、菅首相による6人の任命拒否は、わが国の法治主義――「法による支配」への挑戦であり、しかも学問の自由、思想・良心・表現の自由という、憲法に定められた基本的人権のなかでも核心部分である国民の精神的自由への挑戦であるということであります。
任命拒否が、日本学術会議法で保障された学術会議の高度の独立性を侵害するものであることは明らかであります。
それは、「任命拒否は決してしない」という過去における政府自らの答弁、すなわち確定した法解釈を覆すものであることも明らかであります。
法律も、過去の国会答弁も無視して、政権の意に沿わないものを排除する。このようなことが横行すれば、わが国は法治国家ではなくなってしまいます。「法による支配」が「人による支配」に置き換われば、その先に待っているのは全体主義国家への転落であります。そのことは滝川事件など学問の自由への弾圧が、すべての国民の自由の圧殺へとつながり、侵略戦争の破滅へと国を導いたという歴史が証明しているではありませんか。
日本共産党は、党の存在意義にかけて、この暴挙を許さない先頭に立って奮闘します。6人の任命拒否がいかに日本学術会議法に違反し、日本国憲法に違反するものであるかを、論戦をつうじて徹底的に暴き出し、6人の任命拒否を撤回させるために全力をあげて奮闘しようではありませんか。(拍手)
すべての国民にとっての大問題――「撤回せよ」の一点で一大国民運動を
ここでいま一つ、強調したいのは、菅首相による6人の任命拒否は、6人だけの問題でなく、日本学術会議だけの問題でもなく、日本国民全体にとっての大問題であるということです。
この点にかかわって、お二人の方の批判がたいへん印象に残りました。一部を紹介させていただきます。
ひと方は、映画監督の想田和弘さんです。菅首相への抗議声明を行った映画人有志の一人であります。こうおっしゃっておられます。
「首相の最大の狙いは、……疑心暗鬼を喚起し、自由な言論を萎縮させ、学者だけでなく日本国民全般に政府批判を控えさせることにこそあるように思える。だとしたら、なおさら声を上げないわけにはいかない」(「毎日」)
もうひと方は、前学術会議会長の山極寿一京都大学前総長です。こうおっしゃっておられます。
「国の最高権力者が『意に沿わないものは理由なく切る』と言い出したら、国中にその空気が広がる。あちこちで同じことが起き、民主的に人を選ぶことができなくなり、権威に忖度(そんたく)する傾向が強まる。それは着実に全体主義国家への階段を上っていくことになる」(「朝日」)
全体主義への階段を上るなという警告であります。
私は、このお二方のおっしゃっていることは、その通りだと思います。これは科学者・研究者に対する攻撃だけではない。すべての国民に対する攻撃であり、国民みんなにとっての大問題だということを訴えたいと思います。
そしてこの場を借りて広く国民のみなさんに訴えたい。「違憲・違法の任命拒否は撤回せよ」――この一点で、立場の違いを超え、一大国民運動を起こそうではありませんか。(拍手)
新型コロナ対策――国民の命を守り苦難軽減のために献身する党の責務果たそう
今国会の第二の大きな課題は、新型コロナウイルス感染症から国民の命と暮らしを守り抜くとりくみです。
私は、この問題でいま、二つの重大な危機を打開することが、緊急焦眉の課題になっていることを訴えたいと思います。
感染拡大の危機――「検査・保護・追跡」、医療体制の抜本的拡充を
一つは、感染拡大の危機であります。
政府も現在の感染状況を「微増傾向」と認めましたけれども、冬に向かって感染が拡大し、ヨーロッパのような再燃が起こることが強く危惧されます。
私たちは、この間、「しんぶん赤旗」のインタビューに応じてくれた何人かの専門家の方々に、現在の日本の感染状況をどうみるかについての見解を、お聞きしてきました。共通して、ヨーロッパの感染再燃に続いて、日本でも再燃が起こることへの強い危惧が語られました。「検査・保護・追跡」という対策の基本を抜本的に強化することの重要性がこもごものべられました。
政治の責任で、何としても感染の急激な拡大を抑え、国民の命を守り抜くことが必要であります。そのために「検査・保護・追跡」の体制、医療体制の抜本的拡充をはかることを、強く求めてたたかおうではありませんか。(拍手)
事業と雇用の危機――直接支援の継続・強化、消費税減税・減免を求める
いま一つは、事業と雇用の危機であります。
私は、先日、田村(智子)政策委員長とともに、全商連(全国商工団体連合会)の本部を訪問し、業者の方々の現状をつぶさにうかがいました。「このままでは年が越せない」「いま支援の手が届かなければ事業継続を諦めざるをえない」という悲痛な声がたくさん届けられていました。
民間調査会社の調査では、コロナ収束が長引いた場合、廃業の危機にひんすることになる中小企業が30万を超えるという恐るべき結果が出ています。雇用者数もコロナ前に比べて100万人を超える規模で急激に減っており、リーマン・ショック時を上回る過去最悪の雇用危機が進んでいます。
こうした事業と雇用の危機を、「コロナ恐慌」にしてはならない。どうしてもこれを打開していく必要があります。そのために直接支援の継続と強化、消費税の5%への減税と納入の免除など、必要なあらゆる手だてをとることを強く求めてたたかいぬこうではありませんか。(拍手)
新型コロナヘの対応については、わが党は10月2日に行った政府への「緊急申し入れ」で、まとまった方策を示しております。これを縦横に活用し、国民の命を守り苦難軽減のために献身する日本共産党の責務を立派に果たす国会にしていこうではありませんか。(拍手)
総選挙での政権交代、野党連合政権の実現へ道開く国会に
最後に訴えたいのは、市民と野党の共闘をさらに発展させる国会にしていこうということであります。
わが党は、10月6日の幹部会で、来たるべき総選挙の目標について、「次の総選挙で政権交代を実現し、野党連合政権を樹立することを目標に掲げ、それに正面から挑戦する」ことを党としての目標として掲げました。党内外で強い反響と歓迎の声が広がっております。このわが党の決意を、野党全体の決意にしていくためにも、国会での野党共闘を大いに発展させていきたいと思います。
政府・与党が、6月17日に通常国会を強行閉会してから4カ月余、彼らが国会をまともに開こうとしないもとで、野党は、24回にわたって衆参での閉会中審査を実施させ、コロナ対策、被災者支援、学術会議問題などさまざまな課題で論戦を行い、政治を動かす仕事をしてきました。
野党合同ヒアリングを、延べ55回にわたって開き、政府の姿勢をただすとともに、学術会議問題では、学術会議の元会長さんや任命を拒否された方々などからも広くヒアリングを行ってきました。国会の公聴会のような仕事もやってきたわけであります。政府・与党が、立法府における責任を放棄するもとで、その責任を立派に果たしてきたのが私たち野党ではありませんか。(拍手)
この共闘の流れを、臨時国会でさらに大きく発展させていきたいと思います。次の総選挙での政権交代と野党連合政権の実現に道を開く国会にしていきましょう。そして日本共産党の政治的・組織的躍進に貢献する国会活動を衆参国会議員団が一体になってとりくむ決意を最後に固めあいまして、私のあいさつといたします。ともに頑張りましょう。(拍手)