2020年10月21日(水)
菅首相本「議事録残せ」削除
官僚支配は自慢
改訂版出版
菅義偉首相の著書『政治家の覚悟』(文春新書)が20日、緊急出版されました。同書は2012年に文芸春秋から出した単行本の改訂版ですが、単行本で政府の会議録を残すことの重要性を強調していた章が、改訂版では削除されていることが分かりました。その一方で、人事権は「伝家の宝刀」だと強調し、霞が関への影響を強めたとの自慢はそのまま。政府に不都合な情報を国民の目から隠し、官僚への強権支配を強める政権の危険な性質をあらわにしています。
単行本では東日本大震災当時の民主党政権の対応について、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」だなどと批判していました。
しかし菅氏が官房長官を務めた安倍政権のもとでは、森友疑惑や桜を見る会疑惑で多くの公文書が廃棄、改ざんされ、新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議の議事録をつくらなかったことが批判されました。
他方、「伝家の宝刀 人事権」の章は丸ごと残しています。「人事権は大臣に与えられた大きな権限です…効果的に使えば、組織を引き締めて一体感を高めることができます」とし、NHK「改革」で総務省の担当課長を更迭したことなどを自慢。「とりわけ官僚は『人事』に敏感で、そこから大臣の意思を鋭く察知します」と、官僚の“忖度(そんたく)”を引き出すことを意図するような記述をしています。