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2020年10月20日(火)

主張

非正規最高裁判決

格差是正求め運動を進めよう

 非正規雇用の労働者が正規労働者との不合理な待遇格差の是正を求めた訴訟の最高裁判決が先週相次ぎました。雇用形態による格差の是正を求める世論と運動が社会の流れとなる中で、最高裁の判断が注目されました。

 日本郵便の裁判は、諸手当や休暇を認める判決(15日)をかちとりました。一方、他の2件では一時金、退職金の不払いを正当化する不当判決(ともに13日)でした。非正規は男性雇用者の22%、女性雇用者の54%を占めています。格差をいつまでも放置することは許されません。

前進と逆行を示した判断

 日本郵便の期間雇用社員らが訴えた裁判では扶養手当、年末年始勤務手当などを支給せず、有給の病気休暇を認めないのは不合理とする判断が示されました。夏期・年末手当の格差は不合理としなかったものの、均等待遇に向けて一歩前進した判決です。同社社員の半数近くが非正規です。多くが正社員と同じ仕事をしています。速やかな格差是正が求められます。

 一時金(賞与)が支給されないことを不当として大阪医科大学のアルバイト秘書が訴えた裁判で最高裁は不支給を不合理ではないとしました。東京メトロの子会社メトロコマースの契約社員が退職金差別について争った裁判でも最高裁は不支給を不合理ではないとしました。いずれも原告が正規労働者と同じ職務を果たしてきた実態を見ず、「人材の確保・定着」が一時金、退職金の目的であるとして使用者側の主張を取り入れました。格差是正の流れに逆行する不当な判決です。

 一時金についての判断は、厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインがパート・有期雇用労働者に支給しないことを問題視していることにも反しています。メトロコマースの原告は駅の売店で正社員と同じ業務をして定年まで勤めました。5人の裁判官のうち1人がこの点を指摘し、格差は不合理とした少数意見を述べたことでも判決の不当さは明らかです。

 国税庁の調査では、昨年の平均給与(年額)は正規503万円に対し、非正規は175万円とほぼ3分の1です。基本給とともに一時金の有無が賃金格差の大きな要因となっています。退職金の不支給も非正規労働者の人生に深刻な打撃となる差別です。

 非正規労働者への格差が正当化される背景には法律の規定の問題があります。4月に施行された「働き方改革」一括法のパートタイム・有期雇用労働法、改定派遣労働法には不十分ながら正規・非正規に対する「不合理な待遇の禁止」が明記されました。厚労省の同一労働同一賃金ガイドラインは、一括法を受けたものです。

均等待遇明記へ法改正を

 しかしパート・有期法は労働条件の「均衡」を図ればよいとしています。正規・非正規の間でつり合いをとるのが「均衡」です。使用者の恣意(しい)的な判断による格差が容認されてしまいます。

 雇用形態による格差を抜本的に是正するためには法を改正し「均等待遇」を明記する必要があります。パート・有期法は来年4月に中小企業を含めたすべての事業所に適用されます。何よりも職場で声を上げることが重要です。非正規格差を是正する運動をさらに広げましょう。


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