2020年10月17日(土)
来春闘へ議論スタート
要求は自粛しない
コロナ禍こそ賃上げ切実
来年春闘への議論がスタートしています。経営側はコロナ禍を口実に一時金カットなど賃金抑制に踏み出し、在宅勤務などの負担を労働者に押し付けています。労働界はそろって、コロナ禍だからこそ賃上げが必要だと訴えています。(田代正則)
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「コロナ禍であっても、要求は自粛しない」。JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)の三木陵一委員長は13日の秋闘中央行動で年末一時金、来年春闘のたたかいを呼びかけました。
JMITUのある職場では低い基本給に月60~80時間の残業代を加えて生活がなりたっていましたが、コロナで残業がなくなり、若手では手取り10万円を切る事態に。組合に加入して休業手当を確保していますが、その算定の基礎になる基本給の賃上げが重要です。
三木委員長は「コロナで労働者の生活がどうなっているか実態を調べて要求することが重要だ」と強調しました。
社会維持に不可欠な「エッセンシャルワーカー」を支えるためにも賃上げは切実です。東京女子医大病院では昇給が停止し、夏季一時金も全額カットが計画され、看護師の退職希望が400人を超えると推計されました。「経験者が辞めれば、患者の安全も守れない」との声を受けた労働組合の活動で一時金ゼロを阻止し、退職に歯止めをかけました。
電機大手で在宅勤務をする労働者からは「自宅で働く環境が整わないのに、成果を求められ、電気代や通信費の負担が押し付けられている」と声があがっています。
全労連は8日、21国民春闘方針の構想案を打ち出しました。賃上げ要求案に今春闘と同額の月額2万5000円以上、時間額150円以上を示しました。
コロナ禍で大企業は利益が減ったとはいえ赤字ではなく、上場企業は20兆円の黒字、内部留保は19兆円も増やしていると指摘。内部留保の社会的還元で大幅賃上げは可能だと強調しています。
社会維持に不可欠な「エッセンシャルワーカー」に多い非正規雇用労働者を支えるためにも、大幅賃金引き上げと最低賃金の全国一律1500円の実現を提起しました。
連合は15日、春闘基本構想をまとめました。「エッセンシャルワーカー等の処遇が、働きの価値に見合った水準となっていない」と指摘。社会全体に賃上げをうながすとした方針を堅持し、具体的水準は討論集会などで議論するとしています。