2020年9月27日(日)
医療・福祉政策転換こそ
医師ら都内でシンポ
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全国医師ユニオンや全国保険医団体連合会(保団連)などでつくるドクターズ・デモンストレーションは26日、新型コロナウイルスの感染拡大で地域医療が危機に陥る中、住民の命と健康、医療機関を守るために何が必要かを考えるシンポジウムを東京都内で開きました。オンライン視聴を含め62人が参加しました。
医療・介護の現場で、コロナ対応に奮闘する6人のパネリストらが発言。日本の低医療、低福祉政策のひずみをコロナ禍が直撃しているとして、国の医療・福祉政策を抜本的に変える必要性が語られました。
全国医師ユニオンの植山直人代表は、医療機関の経営悪化などにまともに対応してこなかった、これまでの国の対策を総括し、今後の感染第3波に向け教訓を生かすべきだと訴えました。
みさと健和病院の岡村博院長は、感染疑いの患者を受け入れるために減収を強いられ「前年比2億5千万円の事業収益減で病院経営は史上最悪。自己責任ではなく国が援助すべきだ」と語りました。
外科・泌尿器科開業医の山崎利彦保団連理事は、従業員への夏季一時金を保障するため融資を受けたものの「回収する見込みが全く見えていない。小児科医、耳鼻科医はさらにひどい減収に陥っている」と苦境を訴えました。
歯科医の杉山正隆保団連理事は「感染の不安による受診控えで患者が減り、多くの歯科が閉院を考えている」とのべ、地域医療を守る上で国が減収分を補填(ほてん)する仕組みを求めていかなければと強調しました。
看護師の寺園通江・日本医療労働組合連合会中央執行委員は、恒常的な人手不足にある看護業界をコロナ禍が直撃し、看護師はさらに厳しい雇用環境に置かれているとして、政府に医療・介護労働者の増員を求めました。
介護担当医師の平田理・全日本民医連副会長は、国の介護に対する支援について「介護利用者の重度化に対する対策や、3密を回避しながら介護を行うための抜本的支援策などが不十分で内容的に乏しい」と語りました。