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2020年9月4日(金)

「生活保護申請は国民の権利」

厚労省リーフに追加

 新型コロナウイルス感染症が広がる中、厚生労働省が作成したリーフレットの生活保護のページに、「生活保護の申請は国民の権利です」という一文が加わったことが3日までに分かりました。リーフレットは積極的に生活保護を利用するよう呼び掛けています。(仁田桃)


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「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体までご相談ください」(下線部)と文言が追加された厚生労働省のリーフレット(同省ホームページより)

 リーフレットのタイトルは、「生活を支えるための支援のご案内」。生活保護制度の案内にあたり、「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体までご相談ください」と一番初めに記してあります。

 新型コロナの影響により失業や収入減で生活困窮に陥る人が増えています。福祉事務所に行っても「水際作戦」で生活保護の申請すらできない事態も相次いでいます。他方、バッシングやそこから生じる誤解、偏見で利用をためらう人も少なくありません。

 厚労省はなぜ文言を追加したのか―。同省は本紙の取材に「安倍晋三首相の国会での発言をふまえ、厚労省としても申請をためらうようなことがない方が望ましいと考えたため」と説明しました。

 安倍首相の発言とは、6月15日の参院決算委員会での日本共産党の田村智子議員・副委員長の質問に対する答弁です。

 「バッシングとも言える生活保護への敵意、侮辱を一部の党や政治家があおってきた。それが今、新型コロナの影響で生活困窮に陥っても保護申請をためらわせる重い足かせになっていると思えてならない」と述べた田村さん。安倍首相に「“生活保護はあなたの権利だ”と政府が国民に向けて広報するときだ」と迫りました。

 これを受けて、安倍首相は「田村委員がおっしゃるように、文化的な生活を送るという権利があるわけでございますから、ぜひためらわずに申請していただきたいと思いますし、われわれもさまざまな手段を活用して国民の皆さまに働きかけを行っていきたい」と明言しました。

 リーフレットは同省ホームページで見られます。

田村副委員長の話「水際作戦一掃しよう」

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(写真)活保護は国民の権利だと呼び掛けるよう安倍晋三首相に迫る田村智子議員=6月15日、参院決算委

 6月の国会質問で、安倍首相に「よびかけてほしい」と求めたことが、厚労省のホームぺージでそのまま明記されたことを心から歓迎します。コロナ禍で、生活相談活動に取り組み、申請の同行支援、自治体や政府への要請等に取り組まれたみなさんが、政治を一歩前に進めた証しです。

 同時に、「生活保護の申請は国民の権利」とはどういうことか、なぜこのような踏み込んだ表記をしているのか、真に自立に資する支援策とは何かなど、福祉行政の職員への周知や研修、また適切な相談と支援を保障する職員配置が急がれます。「水際作戦」を一掃しましょう。

 ただ、厚労省ホームページの生活保護制度に関する常設欄には、「国民の権利」「ためらわずに相談を」という文言がありません。ここも改定する必要があります。

 現場でのとりくみと結んで、「自己責任論」を乗り越えた新しい政治につながるよう、私もさらに奮闘します。


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