2020年9月3日(木)
むつ 使用済み核燃料の中間貯蔵施設
規制委が審査書案了承
原子力規制委員会は2日、東京電力と日本原子力発電が青森県に建設中の使用済み核燃料の中間貯蔵施設「リサイクル燃料備蓄センター」(青森県むつ市)が新規制基準に適合しているとする審査書案を了承しました。規制委は、一般から30日間の意見募集を実施したのち、正式に決定する見通しです。原発敷地外の使用済み核燃料貯蔵施設に対する規制委の判断は初めて。
同センターは、東電と原電が出資したリサイクル燃料貯蔵(RFS)が運営します。日本原燃六ケ所再処理工場の運用開始が大幅に遅れる中、再処理工場に持ち出すまで保管する目的で計画されました。2010年に事業許可を取得しましたが、新規制基準施行に対応するためRFSは14年1月、変更許可申請を提出。以来6年、審査が続けられてきました。
同センターは、使用済み核燃料を金属製の容器内に密閉し、コンクリート製の建屋内で空冷します。今回の申請では最大で約3000トンの使用済み核燃料が貯蔵可能。将来は5000トンに増やす計画です。施設の運用期間は50年で、21年度の事業開始を計画しています。東電、原電の沸騰水型原発の使用済み核燃料が保管対象です。
審査では、敷地から約14キロにある恐山(青森県)の過去の噴火で、同センターの敷地に火砕流が到達していたと評価。このことから、RFSは、恐山の活動を監視し、有意な変化があった場合、搬入の停止など、可能な限りの対処を行うとしています。津波対策は、高さ16メートルの敷地に対して、23メートルの津波を想定し、敷地や建屋が浸水しても安全機能が損なわれないと評価しています。想定される地震の揺れは、審査で引きあがり最大620ガル(ガルは加速度の単位)としています。