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2020年8月31日(月)

水俣病患者切り捨て批判

医師ら“国は医学ゆがめるな”

オンラインシンポ

 メチル水銀中毒症(水俣病)の現状や課題を考えるシンポジウムが30日、開かれました。水俣病患者の検診、治療に携わり、医学的見地から患者の裁判を支援する医師らが立ち上げた「メチル水銀中毒症研究会」の主催。熊本、東京、大阪の各会場をオンラインでつなぎ、107人が参加しました。

 水俣病をめぐっては、今なお多くの人が被害に苦しみながら、行政から水俣病と認められず、救済を求めて国などを相手に裁判をたたかっています。

 環境省は2018年、裁判の争点となっている複数の項目について日本神経学会に意見を照会。学会理事会は、会員にはからず▽水俣病の診断は神経内科専門医の診察が必要▽メチル水銀汚染の停止後、発症までの潜伏期間は長くて数年―などと、いずれも国の主張に沿った回答を出しました。シンポジウムは、この回答の妥当性について検討することなどを目的に企画されました。

 阪南中央病院(大阪府松原市)の三浦洋医師は、神経内科専門医ではないものの、長年の患者検診や海外の研究に学び、水俣病関西訴訟を支援した経験などを紹介。手足の先ほど感覚が鈍くなる症状があれば水俣病と認める最高裁判決につながった意義を語り、国の患者切り捨て政策の誤りを強調しました。

 東葛病院付属診療所(千葉県流山市)の戸倉直実医師は、首都圏在住の被害者の検診で、20年以上たって初めて症状が出た例もあると指摘。潜伏期間は短いとする神経学会の回答に対し、「私たちが検診で知りえた事実と違う」と批判しました。

 神経内科リハビリテーション協立クリニック(熊本県水俣市)の高岡滋医師は、「重症者のみを水俣病」とする国の患者切り捨てに、神経学の権威が加担してきた歴史を語り、「医学をゆがめる動きを行政が行ってはならない」とのべました。


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