2020年8月23日(日)
主張
首相連続在職日数
国民の願いに背を向け続けた
安倍晋三首相の連続在職日数が23日で2798日になり、これまで最長だった佐藤栄作元首相に並びます。安倍首相は2006年に第1次政権を発足させたものの翌年に退陣、12年12月に政権に復帰しました。以来7年8カ月にわたる「安倍政治」は、憲法と平和の問題でも、暮らしと経済の問題でも、ことごとく民意に反する暴走を続けてきました。いま新型コロナウイルスへの対応の無策ぶりに世論の怒りは広がっています。国民が痛切に願っているのは、この政治の抜本的な転換です。
コロナ対応に怒り広がる
今月の新聞やテレビの世論調査は、いずれも内閣支持率が3割台でした。「読売」(10日付)では支持率が37%で、不支持率は54%と第2次政権発足以降最高です。NHK(11日放送)では支持率が34%と、第2次政権発足以降最低でした。安倍政権が国民に見放されつつあるのは明らかです。
批判が集中しているのは、コロナをめぐる首相の対応と姿勢です。政府のコロナ対応を「評価しない」が「読売」で66%、NHKで58%にも上ります。PCR等検査の戦略的拡充に踏み切らず、外出や休業を要請するだけで、補償は不十分なままの安倍政権に国民は不信を募らせています。臨時国会の早期開催を求める声は圧倒的多数なのに、安倍政権がそれに背を向け続けていることは重大です。
経済の失政もあらわです。安倍首相は政権復帰時に、大企業のもうけを優先する経済政策「アベノミクス」を打ち出しました。2回にわたり消費税率の引き上げも強行しました。その結果、経済は「再生」するどころか、暮らしは悪化し、格差と貧困を拡大させました。そこにコロナが直撃し、国民生活への打撃は深刻です。失政を省みるどころか、無為無策の「安倍政治」では、暮らしも経済も守れません。
「安保法制」=戦争法の制定を強行し、憲法に自衛隊を明記する改憲に固執する立憲主義の破壊も、国民の声に真っ向から逆らうものです。今年の終戦記念日の15日には安倍首相が侵略戦争を美化する靖国神社に玉ぐし料を納め、翌日を含め第2次政権発足後最多となる5人の閣僚が参拝したことは、過去の戦争に無反省な政権の姿をあらわにするものです。
しかし、改憲議論の加速を狙った自民党改憲案の国会提示がいまだにできていないように、改憲策動は思惑通りには進んでいません。日本国民と世界の諸国民に甚大な被害を与えた75年前の教訓に学ばず、再び「戦争をする国」への道を突き進むことを国民は決して認めません。
国政私物化を許さず
安倍政権は、自分に親しい人物を優遇するため行政をゆがめる「国政私物化」も際立たせました。「森友」「加計」「桜を見る会」など一連の疑惑は解明されるどころかいっそう深まるばかりです。第2次政権後に辞任した閣僚は10人に上り、多くが「政治とカネ」の問題に関わる辞任です。
自らの疑惑についても、自ら任命した閣僚らの疑惑についても説明責任や任命責任を果たさない首相を、国民が信頼できるはずがありません。政権担当の資格がないことがいよいよ明らかになっている安倍政権を終わらせ、新しい政治へ道を開くことが必要です。