2020年8月18日(火)
持続化給付金申請サポート会場
全国550から大幅減
「困る人多いのに」
全国約550カ所で開設・運営してきた持続化給付金の申請サポート会場が7月末、約半分の223カ所へ大幅に縮小されました。申請に困難を抱える人たちがまだ多くいます。閉所した地元からは「これから申請をしようと思っていたのに会場が遠くなるのは困る」「まだ制度自体を知らない人もいるのに」など困惑と怒りの声があがっています。(原千拓)
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福島県二本松市の申請サポート会場は7月末で閉所しました。同市で畜産を経営する男性(70)は「閉所日がいつなのか、連絡や情報がなく分からなかった。申請に行こうとしたら、知人から閉所していることを聞いた。みんなに知れ渡るようにすればいいのに」と怒ります。
持続化給付金は新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減った中小企業や個人事業主、フリーランスを支援する制度で農業者も対象です。
申請は電子申請を原則としていますが、申請サポート会場はインターネットでの操作が不得意、環境がないなど申請が困難な人たちの声を受けて開設されました。
ところが7月末に全国の会場が約半分へ大幅に縮小。閉所の理由について、経済産業省から委託を受けた一般社団法人サービスデザイン推進協議会作成の「持続化給付金」ホームページでは「利用状況を総合的に勘案し」と説明します。
男性は「閉所することを知らなかった人が大半。給付金の制度をまだ知らない人もいる。農業者の多くは高齢者で書類をそろえるのも大変だしインターネット設備もない」と話します。
同市から別の会場までは、車で高速道路を使って30分から40分かかるといいます。男性は「もし書類に間違いなどがあったら行き来が大変。今は牛の餌用の草刈りで多忙な時期なので半日あけるのも容易ではない。他の農業関係者も書き入れ時なので、2週間や月1回でも地元で申請受付をやってもらいたい」と訴えます。
これまで持続化給付金の申請に取り組んできた、福島県生活と健康を守る会連合会の弦弓高明事務局長は「モモの生産が終わった9、10月ころから申請する農家や今年12月までの売り上げを見て申請する人たちもいます。この時期にサポート会場の一部閉鎖はおかしいし、困る人たちが多くいると思います」と指摘します。
一人も残さないで
日本共産党の岩渕友参院議員の話 持続化給付金の申請手続きをオンラインのみに限定したことへの怒りの声があがっています。さらに、さまざまな“制度上の欠陥″により給付を受けられない事例もあり、現在のやり方では対応しきれません。持続化給付金は2020年度補正予算で実施途中の制度です。単純に体制を縮小するのではなく、郵送での申請を含め、個別の実態を丁寧にみて、一人も取り残さないように改善することが必要です。また長引くコロナ禍の下、2回目の給付が必要です。