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2020年8月18日(火)

主張

GDP減・戦後最悪

経済政策の根本的転換が急務

 内閣府が発表した今年4~6月期の国内総生産(GDP)が、前期に比べ3割近くも落ち込んだことが大きな衝撃を広げています。戦後最大規模のGDPのマイナスは、新型コロナの感染拡大が経済を直撃していることを浮き彫りにしました。昨年10月からの消費税増税で弱体化していた日本経済に、コロナが追い打ちをかけているのは明白です。安倍晋三政権の経済政策が根本から問われます。コロナで痛めつけられている雇用や営業への支援を抜本的に強化するとともに、経済の立て直しに消費税減税を含めて思い切った対策を実施することが不可欠です。

「リーマン」直後上回る

 4~6月期のGDP(速報値)は、物価上昇の影響を差し引いた実質で前期(1~3月期)に比べ7・8%もの大幅なマイナス、生活実感に近い名目でも同7・4%の減です。落ち込みが1年間続くと仮定した年率換算では、それぞれ27・8%と26・4%もの劇的な下落となります。四半期別の実質マイナス成長は消費税の増税後、昨年10~12月期と今年1~3月期に続き、3期連続です。実質GDPが年率で3割近くも落ち込むというのは、2008年のリーマン・ショック直後の09年1~3月期の年率17・8%を超え、現行統計史上、最大の記録的な減少幅です。

 費目別で見てみると、GDP全体の半分以上を占める民間最終消費支出(個人消費)は実質で8・2%、名目でも8・4%の大幅なマイナスでした。4~5月の緊急事態宣言による自粛が消費を凍り付かせたことを鮮明にしました。民間住宅投資も民間企業設備投資も減です。輸出も実質で18・5%、名目で21・4%もの大幅な落ち込みです。米中貿易摩擦による世界経済の縮小も反映しています。

 問題は、日本経済の落ち込みはコロナだけの影響にとどまらないことです。内閣府は7月末、12年12月から始まった景気拡大局面が18年10月で終了し、後退に転じたと公式に認定しました。景気が後退していたにもかかわらず、19年10月から消費税率の10%への引き上げを強行したことは、安倍政権の経済失政に他なりません。

 茂木敏充経済再生担当相(当時)は19年1月、景気拡大は「戦後最長になったとみられる」と言い張り、安倍首相も「リーマン・ショック級」の事態にでもならない限り消費税を増税するとして、国民に押し付けた責任を免れません。いまリーマン・ショック時を超える大幅な経済の落ち込みを示している中で、消費税率の引き下げを拒む理由はありません。新型コロナが再び感染拡大をしている時、世界の国々で消費税(付加価値税)減税に踏み切っていることにも学び、消費税率の5%への引き下げを決断すべきです。

直ちに臨時国会開いて

 新型コロナの感染再拡大は深刻で、暮らしと経済を脅かしています。日本経済の不振がいよいよ明白になった以上、「国権の最高機関」である国会を直ちに開いて、経済の立て直しに、英知を結集すべきです。

 消費税の増税とコロナの感染拡大で追い詰められる国民の暮らしを応援するには、緊急対策とともに、大企業や大資産家ではなく国民を優先する経済政策への抜本的な転換が不可欠です。


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