2020年8月16日(日)
「歴史に向き合う」消える
全国戦没者追悼式 首相の式辞
侵略戦争の無反省示す
安倍晋三首相は15日、東京都千代田区の日本武道館で開かれた政府主催の全国戦没者追悼式で「戦争の惨禍を、二度と繰り返さない。この決然たる誓いをこれからも貫いてまいります」との式辞を述べました。しかし、これまでの式辞にあった「歴史の教訓を深く胸に刻み」(2019年)などの過去の歴史に「向き合う」姿勢を示す言葉が消えました。
安倍首相は、第1次政権の2007年の式辞では「過去を謙虚に振り返り」と述べ、第2次政権発足後の13~19年の式辞でも「歴史に対して謙虚に向き合い、学ぶべき教訓を深く胸に刻みつつ」(13年)、「歴史に謙虚に向き合い」(14年)、「歴史を直視し」(15年)、「歴史と謙虚に向き合い」(16~18年)などと述べていました。
一方、安倍首相は第1次政権当時は、過去の歴代首相と同様、アジア諸国民に与えた「多大な損害と苦痛」への「深い反省」を述べていましたが、第2次政権発足後は言及しないようになり、今年も触れませんでした。そのうえ、歴史から学ぶ姿勢を示す言葉さえ消えてしまったことは、侵略戦争や植民地支配への安倍政権の無反省な姿勢をはっきりと示すものです。
一方、今年の式辞では「わが国は、積極的平和主義の旗の下、国際社会と手を携えながら、世界が直面しているさまざまな課題の解決に、これまで以上に役割を果たす決意です」と、自衛隊の海外派兵を進めるために安倍首相が掲げた「積極的平和主義」を初めて使いました。