2020年8月11日(火)
PCR検査偽陰性・偽陽性
政策決定の問題にならず
日医サイト NY医師の報告紹介
日本医師会の有識者会議は5日付で緊急レポート「ニューヨーク州におけるPCR検査の実際」をWEBサイトに掲載しています。執筆者はニューヨーク市内のコロンビア大学病院で第一線で診療にあたってきた島田悠一医師で、ニューヨーク州でPCR検査数を増やし感染状況を正確に把握したことで科学的な政策決定が可能となったとし、政策決定に用いる場合は偽陰性・偽陽性は問題にならないとしています。
レポートでは、検査が急速に増加した要因として、病院、診療所のほか薬局でも検査を受けることができ、市が設置したPCR検査所、ドライブスルー検査所は700カ所にのぼるといいます。また州や市が設置した検査所では検査は無料など、患者の経済的負担をなくしたことがあげられています。
レポートで島田氏は「PCR検査に関しては大きく分けて二つの目的・利用法がある」とし、「検査結果を個人の治療方針の決定に利用する場合」と「多くの検査結果を集計して集団としての(つまり、市、州、国単位での)行動方針や政策の決定に利用する場合」をあげています。そのうえで「事前確率や偽陽性・偽陰性が問題になる可能性があるのは前者の場合、つまりPCR検査を個々の症例の方針決定に利用する場合であって、市や州などが集団全体の現状と傾向を把握するために多くのPCR検査を行ってその集計結果を利用する後者の場合とは目的が異なる」としています。
同氏は「ニューヨーク州が取っている戦略は後者」だとし、できるだけ多くの検査を行うことで「集団全体での感染者数の割合やその増減の傾向を非常に高い精度で把握し、それによって導き出される指標(例:実効再生産数)に基づいて政策を決定(そして場合によっては調整・変更)する」としています。