2020年8月10日(月)
「安倍さん、菅さんと写真とれる立派な人がやってる」
悪質マルチ被害が拡大
IR汚職で逮捕の元社長 政権中枢と接点
衆院議員の秋元司被告=自民党離党=が収賄罪で起訴されたカジノを中核とする統合型リゾート(IR)をめぐる汚職事件に関連し、東京地検特捜部が逮捕(4日)したマルチ企業元社長の淡路明人容疑者(54)。安倍晋三首相や妻の昭恵氏と接点があり、首相主催の「桜を見る会」にも参加していました。(取材班)
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淡路容疑者はマルチ企業「48(よつば)ホールディングス」の元社長。同社は2017年10月に消費者庁から特定商取引法違反で取引停止命令を受けました。同社は、会員を勧誘すると報酬が得られるマルチ商法の典型的な取引形態で「クローバーコイン」と称する仮想通貨を販売。「1カ月半後には10倍に値上がりする」などと虚偽の説明をして会員を集めていました。
資金提供
そんな問題企業の経営者と安倍首相夫妻が“カネと桜”で接点を持っていた―。「赤旗」日曜版(3月1日号)によると、淡路容疑者は、昭恵氏が関与したゲストハウスなどの複合施設「UZU(ウズ)ハウス」(山口県下関市)のクラウドファンディング(16年1月~4月)に協力し、資金を提供していました。昭恵氏は現在も運営会社の取締役を務めています。
資金提供の見返りで、淡路容疑者は同年8月13日、関門海峡花火大会にあわせて開かれたUZUハウスの開設記念パーティーにも参加。その会場で安倍首相と並んだ写真も撮影されています。
さらに淡路容疑者は、同社幹部とともに16年4月に開催された「桜を見る会」と安倍首相の後援会が開いた前夜祭に参加したことが、「赤旗」日曜版(4月19日号)のスクープで明らかになっています。
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淡路容疑者のフェイスブックには、会場で安倍首相や昭恵氏と並んで撮影した写真や「桜を見る会 安倍晋三後援会」のプレートがついたバスに乗車中の写真が投稿されていました。首相夫妻との写真は札幌市にある同社の本社に飾られ、会員の勧誘活動にも利用されていた、といいます。
本紙は、同社幹部とみられる人物と菅義偉官房長官が桜を見る会で一緒に撮影した写真も入手しています。知人から安倍首相や菅官房長官の写真を見せられて勧誘された関東在住の男性は「知人は『安倍さんや菅さんとツーショットを撮れるような立派な人がクローバーをやっているんだ』と強調した」と証言しています。
“荒稼ぎ”
写真が勧誘に使われた時期は、同社の会員が拡大した期間と重なります。その事実を裏付けるように、同社は16年9月ごろから売り上げを急速に伸ばし、17年6月までの10カ月間で192億円以上を“荒稼ぎ”しました。
安倍首相は「その人物(淡路容疑者)と個人的な関係はいっさいない」(2月17日、衆院予算委)と主張していますが…。
日本共産党の田村智子政策委員長は参院予算委員会(3月9日)で、こう指摘しています。
「UZUハウスや桜を見る会での記念撮影と総理の写真が使われて、結果としてマルチ商法の被害を広げてしまった。なぜこういう事態がおきたのか、ちゃんと答えるべきだ」