2020年8月7日(金)
障害者解雇1100人超
コロナ感染拡大 2月以降
新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、2月以降、解雇された障害者が1100人以上に上ったことが、厚生労働省から労働政策審議会障害者雇用分科会に提出された資料でわかりました。
同分科会では、民間企業などに義務付けられている障害者雇用の割合(法定雇用率)を今年度中に0・1%引き上げる時期をめぐって議論されています。資料は、新型コロナ感染拡大が障害者雇用に及ぼしている影響を踏まえて引き上げ時期を検討するために、7月31日に開かれた同分科会に出されました。
それによると、同省がハローワークを通じて調べたところ、感染が拡大した2月から6月までに1104人の障害者が解雇されました。前年同期より152人上回りました。とくに、5月は221人、6月は206人と、いずれも前年同期の1・5倍を超えました。また、求人数、就職件数、就職率も前年同期より減少しました。(表)
同省は障害者雇用率について来年1月1日からの引き上げを提案しています。同分科会では、新型コロナ感染拡大を理由に、使用者代表の委員から先送りを求める声が上がっています。一方、労働者代表や障害者代表の委員からは来年1月からの引き上げに賛成する意見が出されています。
雇用推進 国が保障を
家平悟・障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会事務局次長の話 コロナ禍で一般労働者も解雇されているので、障害者の解雇だけが多いとは判断しづらいです。
障害者雇用で多い問題は、給与の搾取など雇う側からの虐待です。コロナ禍を理由にした給料減などが起こっていないか心配しています。
障害者は一般労働者よりも新型コロナの影響による就職率などの減少幅は少ないと言われていますが、失業と合わせて雇用の内容面まで見る必要があります。
障害者雇用率を引き上げる議論が起こることは良いことですが、企業だけの負担で解決する問題ではありません。
日本の障害者雇用に関する助成金は、法定雇用率を満たせなかった企業からの「罰則金」が財源になっており、法定雇用率を満たす企業が増えれば助成金の財源はなくなっていく。企業の負担や責任ばかり重くしても障害者雇用は進みません。国で保障すべきです。
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