2020年8月6日(木)
核兵器廃絶の先頭に
被爆75年で討論会 日本は禁止条約批准を
広島で被爆者・国連・各党代表ら
志位委員長が発言
被爆75年、広島の原爆の日を前に5日、「核兵器廃絶へ日本はいま何をすべきか」をテーマに被爆者や国連、政府、与野党代表らが参加する討論会が広島市で開かれました。核兵器廃絶日本NGО連絡会の主催。
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国連の中満泉軍縮担当上級代表は、軍拡競争が激化するなかで安全保障のツールの一つとして軍縮があることを強調。核兵器禁止条約に関し日本政府に対して「ドアをクローズしないでいただきたい。共通の目的を完全に共有しているということを発信してほしい」と述べました。
ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)のベアトリス・フィン事務局長は「核兵器で人々を守ることはできない。日本は禁止条約に加盟し、一緒に核廃絶を進めていくべきです」と述べました。
与野党の代表が発言。日本共産党の志位和夫委員長は、新型コロナウイルスとたたかううえで、軍事力、とくに核兵器が何の意味ももたないことが明らかになったと強調。軍事費、特に核兵器予算を削り、「医療などのケア、暮らし、途上国支援など、命と尊厳を守るために充てることを求めたい」と訴えました。
「核兵器のない世界」にどうやって進むか―。志位氏は、(1)核兵器禁止条約の一日も早い発効(2)来年1月のNPT(核不拡散条約)再検討会議で前進―の国際社会に求められる二つの努力方向を提起しました。この中で、「同条約を発効・発展させるために、草の根からの運動に全力を尽くす」と決意表明。同時にNPT再検討会議に向けて「核保有国に既存の誓約を履行し、さらに前進することを迫ろう」と呼びかけました。
志位氏は、核兵器禁止条約に背を向ける日本政府の姿勢を批判。日本政府が態度を改め、同条約に署名することを主張するとともに、政府が「黒い雨」訴訟の広島地裁判決を受け止め、控訴せず、被爆者救済の措置を取ることを求めました。
討論のまとめとして志位氏は、核抑止力論に立ち同条約に反対する日本政府の立場について、「抑止力論とはいざという時には核兵器を使用するという立場であり、ともかくも『核の非人道性』を訴えながら核抑止力論にしがみつき続けていいのか、大きな矛盾ではないかが問われている」と述べました。
他党から「(禁止条約は)画期的な条約であり、日本が加盟するためのロードマップをつくるべきだ」(立民・枝野幸男代表)などの意見が出されました。
これに対して、尾身朝子外務政務官は「核兵器保有国と非保有国の橋渡し役として働きかける」と従来の姿勢を繰り返しました。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)代表委員は「戦争をしないために互いの信頼関係をつくることを行っていただきたい。日本政府は禁止条約に署名、批准し、締約国となって、核なき世界の先頭に立ってほしい」と語りました。