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2020年7月25日(土)

「ブースター落下」検討せず

配備断念の陸上イージス

防衛省資料に形跡なし

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(写真)「基本構想」に示された、むつみ演習場での陸上イージス関連施設の配置図

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(写真)むつみ演習場を陸上イージス配備の「適地」と最終決定した際の防衛省説明資料(2019年12月17日付)。「ブースターを演習場内に落下させるための措置をしっかりと講じます」と明言している

 政府が「ブースターを演習場内に確実に落下させることができない」として配備を断念した陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」をめぐり、実際は、ブースターの落下について全く想定していなかったことが、日本共産党の穀田恵二衆院議員が入手した防衛省の報告書で明らかになりました。(関連記事)

穀田議員が入手

 穀田氏が入手したのは、同省が2019年5月にまとめた「候補地(30)基本構想等策定業務 報告書(むつみ演習場編)」と題する文書で、約7000ページにおよびます。むつみ演習場(山口県萩市)での基本構想として、(1)火薬庫や燃料施設、自衛隊庁舎などを置く「管理地区」(2)火薬庫やレーダー、迎撃ミサイルの垂直発射装置(VLS)などを置く「運用地区」―の配置場所などを検討したものです。防衛省が同年5月に山口県などで配布した説明資料の基になった文書です。

 ブースター(重さ200キロ強)の落下をめぐっては、18年6月、地元住民への説明会で、「ブースターが居住地に落下するのではないか」との懸念が出されました。これに対し、防衛省は同年8月以降、「確実に演習場内に落下させる」と説明してきました。

 しかし、穀田氏が入手した報告書には、火薬庫や燃料施設などの重要施設の配置について、ブースターの落下を一切検討しておらず、「ブースター」に関する記述は全くみられません。

 ところが防衛省が県などに配布した説明資料では、「ブースターを演習場内に落下させるための措置をしっかりと講じます」と明記していました。

 防衛省はブースターの落下について、実際は想定していないにもかかわらず、「確実に演習場内に落下させる」として住民を欺いていたことになります。

配備ありきの方便

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 穀田議員(日本共産党国会議員団外務部会長)の話 防衛省が本当にブースターを「演習場内に確実に落下させる」ことを想定していたならば、基本構想も、それを前提に策定してしかるべきです。ましてやブースターの制御は、同省が住民説明会で「約束」してきたことであり、この問題を抜きに、ミサイル垂直発射装置(VLS)などの配置を検討するなどあり得ません。

 防衛省が、実際の運用では演習場内への落下など想定しておらず、「配備ありき」で計画を推し進めるための地元向けの「方便」だったことを示しています。陸上イージスの配備断念に至った経緯の徹底検証が強く求められます。


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