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2020年7月23日(木)

政府「GoTo」迷走ますます

無策のまま経済活動推進

感染防止・補償の具体策必要

 旅行需要喚起で22日に実施した「Go To トラベル」は、方針転換や事業者未定で、ますます混迷を深めています。

 観光庁は、東京発着除外とキャンセル料の補償をめぐる二つの方針転換に関する決裁文書について、文書での決裁はしておらず「口頭で(国土交通)大臣の了承を得た」(22日の衆院文部科学委員会立憲民主党の川内博史議員への答弁)と述べ、方針転換の経過が文書で残っていないことが判明しました。コロナ対策や税金の使い方に関する重要な政策決定(変更)について、その判断の理由を検証できないことは重大です。

 安倍首相は22日、同事業の開始を受けて「国民の協力を頂きながら、慎重に経済活動を再開していくことに変わりはない」と、感染拡大の危険性を顧みず、無反省のままあくまで事業を推進する姿勢を示しました。

 もともと安倍政権は、4月7日の閣議決定で「Go To トラベル」を含む消費喚起キャンペーンを「新型コロナウイルス感染症の拡大が収束し、国民の不安が払しょくされた」後に実施するとしていました。感染急拡大の中で、当初、8月上旬としていた開始時期を「大幅に前倒しし、7月22日以降の旅行から、旅行代金の割引について先行的に開始する」(赤羽一嘉国交相、10日)と発表。10日の東京の感染者は200人を超えていました。

 東京での急激な感染拡大にとどまらず、埼玉県、神奈川県など首都圏での感染が広がる中で、国民や野党から同事業を中止・延期を求める声が強まり、東京発着を除外せざるを得なくなり、解約料の支払いでの方針転換となりました。

 一連の混迷の根本には、感染急拡大の中で、感染を加速させかねない「旅行の勧め」を展開するという逆行があります。

 安倍政権は「感染防止と社会経済活動を両立させる」と言いながら、感染防止のための有効な対策を打ち出せず、経済活動だけを推し進めようとしています。感染の実態を把握するためのPCR検査の抜本的拡充の戦略もなく、徹底した補償と一体の休業要請など具体策もとっていません。

 東京の感染者が22日に238人、大阪でも121人と過去最多を記録する中、人の移動を促し、さらなる感染拡大につながりかねない「Go To」は中止し、苦境にある旅行業者を支援する別の形をつくるべきです。

 野党は22日、野党国対委員長連絡会で同事業の中止を強く求めました。(若林明)


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