2020年7月6日(月)
最賃抑制許さず
労働界「コロナ禍こそ引き上げを」
中央最低賃金審議会(中賃審)で引き上げ目安の議論が行われています。コロナ禍を口実に最賃抑制を狙う財界と安倍政権に対して、労働界はコロナ禍で労働者の生活を守り、社会を支えるため、最賃引き上げ、地域間格差是正を求めています。(田代正則)
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安倍政権と財界は一体となって最賃抑制に躍起です。4月16日、日本商工会議所は最賃について「凍結も視野に」と要望書を政府に提出。安倍首相は6月3日の全世代型社会保障検討会議で、「コロナによる雇用・経済への影響は厳しい状況にあり、今は雇用を守ることが最優先課題だ」と最賃抑制の考えを示しました。
6月26日の中賃審では、経団連の池田三知子労働政策本部長が「総理のご指示を重く受け止める必要がある」などと発言しました。
これに対し、全労連は、長期化が予測されるコロナとのたたかいを乗り越えるため、8時間働けば普通に生活できる時給1500円、過密を解消する全国一律制確立を目指そうと呼びかけています。
6月29日に発表した野村幸裕事務局長の談話では、リーマン・ショックの際、賃金抑制と雇用破壊で大企業が利益を確保したためにデフレから抜け出さなくなったと問題視。最賃近傍で国民生活を支えるエッセンシャルワーカーのためにも最賃引き上げが必要だと訴え、地域間格差の元凶となっている地域区分の見直しなどを審議のなかで表明するよう求めました。
全労連は6月11日、衆院第1議員会館で、コロナ禍と最低賃金を考える院内学習会を開催。日本共産党、自民党最賃議連、立憲民主党、国民民主党、沖縄の風など国会議員20人が出席しました。
「コロナ禍で思い切った中小企業支援をして最賃を引き上げるべきだ」(共産党・宮本徹衆院議員)、「全国一律をめざさないといけない。財源では企業の内部留保が460兆円を超えている」(自民党最賃議連・務台俊介衆院議員)と与野党超えて賛同が寄せられました。
連合は7月1日、異例の臨時全国最低賃金対策会議をオンライン開催。神津里季生会長は「最賃引き上げの流れを止めることは許されない」と述べました。
神津氏は、「私たちは一刻も早く『誰もが(時給)1000円』実現と言っているし、その先にもっと高い目標を実現しなければならない」「(地域別最賃は)四つのランク分けがあって、格差を拡大させた。何としても反転させなければならない」と指摘しました。
神津氏は、「朝日」ネット版6月23日付インタビューで、「誰もが1千円、その先の1500円というところに向けて歩んでいくことが大事だ」「ランク付けをやめていく、その途中過程として、まずランクの数を減らしていくべきだ」と発言しています。