2020年7月2日(木)
校閲の目
中抜き
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コロナ対策の持続化給付金をめぐる業務委託で、大手広告代理店の電通などがつくった「サービスデザイン推進協議会」が電通に再委託して約20億円を懐にいれ、さらに電通が子会社に外注して約104億円が転がり込む「中抜き」が行われ、怒りを呼んでいます。経済産業省と電通のズブズブの癒着関係が生んだものと言われます。
委託費の中から手数料などを抜き取るので「中抜き」と呼びます。三省堂国語辞典には「取引の中間に、不必要な仲介者がはいって、おかねを取ること」として掲載され、最近よく使われるようになりました。以前は「ピンはね」とか「上前をはねる」などと言っていました。
これまで「中抜き」とは、商品の流通過程で卸売りなどの中間業者を抜かして、生産者と小売業者や消費者が直接取引すること、つまり「中間を省略」することを指していました。また2枚の定期券を使う、いわゆる「キセル」行為も「中抜き」と呼ばれ、隠語辞典では財布の中身だけ抜いて戻すスリの手口も「中抜き」と呼んでいました。
こっそり税金を「中抜き」することも許せませんが、コロナ禍のなか、通常国会を閉じてしまう「国民抜き」「説明抜き」の政治は、絶対に許せません。(河邑哲也)